実は間違い?タイヤの黄色い点(軽点)とバルブ位置の組み付け関係

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『タイヤ側面に見ることが出来る「黄色い点」はバルブの位置に合わせて組み込むものだ。』なんて話を聞いたことはないでしょうか?果たして本当でしょうか?そもそも「黄色い点」の意味とは?
よく言われていることを鵜呑みにしていると恥をかくかもしれない。だけど知っていても大して得することはない。そんなウンチクです。

 

タイヤにつけられている印は何なのか?

タイヤ軽点ユニフォミティ拡大
タイヤの側面には幾つかの「印」がつけられていることがあります。使用していると剥がれたり消えたりしてしまうことも多いので新しいうちにしか見ることが出来ない場合が多いのですが、この「印」はいったい何なんでしょう?

 

黄色い点は何なのか?

タイヤ単体で最も軽い点であり「軽点」と呼ばれています。
国内メーカーではほとんどのタイヤにつけられていますが、欧州メーカーではほとんど採用されていません。

 

赤い点は何なのか?

「ユニフォミティマーク」と呼ばれタイヤ単体で外径が最も大きい部分につけられています。
国内メーカーの一部のタイヤにつけられていますが、欧州メーカーでは見たことがありません。




なぜ欧州メーカーにはないのかミシュランに聞いてみた

ミシュランは現在一切のマークをつけていませんので担当営業に聞いてみました。

 

ナ:ナビゲーター ミ:ミシュラン担当営業

ナ:
ミシュランタイヤで軽点やユニフォミティマークをつけていないのはなぜでしょう?
ミ:
弊社では十分なバランスと真円性を持った製品を供給しているため必要ないと考えています。
ナ:
普段からタイヤの組み付けにも関わる身として正直に言いますが、それほどバランスが均等だとは思わないのですが如何でしょう?
ミ:
完全に均等とは申しませんが、弊社としては十分と判断しています。
ナ:
ざっくばらんに教えてほしいのですが、イチ営業マンとしてとしてはどう考えていますか?
ミ:
本国の考えている十分な許容範囲という考えに同意しますが、他社製品と比べて特別バランスが良いとも考えていません。しかし必要十分な範囲であるとの考えには変わりありません。真円性についても同様です。
ナ:
なるほど。
ミ:
個人的にはマーキングしても良いような気もしますが、コストもかかりますからね。
ナ:
タイヤ屋としてはあると助かりますが、そこまでの必要はないと考えているわけですね。
ミ:
そうなります。要望が多ければ今後検討されることもあるかもしれませんが、現状その声は大きくないようです。
ナ:
有難う御座いました。

 

何のためにこのようなマーキングがあるのか

ホイールユニフォミティ拡大当然マーキングされている意義があります。タイヤは単体で使うことはなく、必ずホイールに組み込んで使うことに関係しています。そしてホイールにも同様に重さや真円性の偏りがあります。
勘の良い方はもうお気づきでしょう。そうホイールと組み合わせた際にバランスをよくしたり、真円性をよくしたりするために使われるのです。

 

ホイールの重い場所

ホイールには通常1箇所均等でない部分があります。それがエアバルブが取り付けられている箇所です。一般に余分に部品がついているので重いと言われています。

 

ホイールにもあるユニフォミティマーク

純正ホイールにもタイヤ同様に「ユニフォミティマーク」がつけられていることがあります。ただタイヤとは逆に外径が最も小さい部分に、大抵は白か水色の点がつけられています。




バランスか真円か?

タイヤホイールを組み付ける際、理想的と「思える」以下の3つの方法があります。
バランス重視:タイヤの最も軽い点とホイールの最も重い(と考えられる)点を合わせて組む
真円重視:タイヤ外径の最も大きな点とホイール外径の最も小さい点を合わせて組む
➂ユニフォミティテスターを使う:マーキングに頼らず高い真円性を得られる組み方(今回はマーキングについてなので詳細は除外)

 

➀バランス重視の軽点合わせ

なぜか

軽点合わせ軽点のバルブ位置合わせをするのは主にタイヤ屋さんの手前事情と考えられます。バランスは組み付けた後で重りを打ったり貼ったりして調整するので、本来は組み付け時には気にする必要はないはずです。しかし、組み付けた時点で出来るだけバランスが良ければ少ない重りで調整が済むため、少しでもコストが節約できます。こんな経営者側の事情の作業方法が、引き継がれる過程で「意味」が消え、「正しい方法」とされるようになったのかもしれません。

 

問題

タイヤについては軽い点が測定されていますが、ホイールは「重い可能性が高い点」を組み合わせます。確かに組み付けた時点でバランスが良いことは多いですが、場合によってはバランサーにかけたら非常にバランスが悪く、正反対に組み直すケースがあることも事実です。思考停止して黄色い点とバルブを合わせれば良いわけではありません。
※一手間かかるので普段から実施されるお店は多くないと思いますが、組み付け時に最適なバランスをとるベストマッチング機能がついたバランサーもあり、この機能を使った場合ほぼ軽点は合いません。「軽点がズレている」ではなくベストマッチング組み付けをした結果ということも考えられます。

 

ユーザーのメリット

たとえ数十グラムでも軽く仕上がる「傾向」があります。サーキット走行などでの高いハンドリング性能を求めて軽量ホイールを装着したのなら、ウェイトも出来るだけ少なくしたいと考えるのも頷けます。僅かとはいえその助けにはなるでしょう。
仕上がりとして沢山ウェイトが付いているより最小限の方が美しいのは間違いありません。

 

➁真円重視のユニフォミティ合わせ

なぜか

ユニフォミティー合わせ
タイヤは自ら変形することで滑らかな走行を助けてくれるとはいえ、スムーズで安全な走行には高い真円性が重要です。タイヤメーカーもホイールメーカーも高い真円性を持つように製造を行っていますが完全ではありません。そこでユニフォミティを合わせてタイヤホイールを組み付けることで最も高い真円性が出る組み付けができるわけです。JATMA(一般社団法人 日本自動車タイヤ協会)でもユニフォミティで合わせることが推奨されていますし、新車時にユニフォミティがあるタイヤの場合、多くはユニフォミティ合わせで組み込まれています。

 

問題

ユニフォミティマーキングについて、軽点に比べて採用しているメーカーが少ないのでタイヤ側にもマーキングがない場合が多く、更に純正ホイールでもすべて採用されているけではありません。このため合わせたくても合わせられないことが多いのが実状です。

 

ユーザーのメリット

真円性が高い組み付けは、よりスムーズで安定した走行を実現します。
経験上、ユニフォミティ合わせで組み付けるとバランスも良くなることが多く、結果的には少ない重りで調整がきく傾向にあります。(勿論必ずではありません)




まとめ

・タイヤを組み付ける際、マーキングについてはルールはありません。
・軽点とバルブでも、ユニフォミティでも、全く気にしなくても組み付ける側の自由です。
そうは言っても
・JATMAはユニフォミティ合わせで組み込みを推奨しています。
・新車装着のユニフォミティのあるタイヤの多くはユニフォミティ合わせで組み込まれています。
・軽点バルブ合わせもメリットのある良い仕事で「あり」だと思います。
・こだわるお店はユニフォミティテスターを備えていますが工賃は高額になる傾向にあります。

 

ナビゲーターのお店では基本的はユニフォミティ合わせを行い、マークがない場合は経験から出来るだけ真円性が出るように組みます。場合によっては軽点とバルブを合わせて組むケースもありますし、ベストマッチングを行いバランス重視で組む場合もあります。
個人的にはマークが無くても高い真円性が出せるユニフォミティテスターを用いた組み付けをしたのち、バランスをとるのがベストと考えています。
というのもバランスについては重りで調整できますが真円性は組み込み時しか調整できないためです。ただナビゲータのお店では組み付けで振動が出るのは数百台かそれ以上に一台といった割合です。これほど少ないことを考えれば、毎回ユニフォミティテスターを使用するまでの必要はなく、振動が出てから再調整で良いのではないかと考えます。手間も時間もかけて費用も高くなるので、最上級の仕事をすることが必ずしも顧客の方を向いているとは言い切れないからです。

 

お店毎に最善と考えている方法で作業をされていると思いますので、参考程度に考えてください。気になるようなら作業される店舗のスタッフの方に作業方針を聞いてみるのが良いと思います。




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