低燃費タイヤはお得か?

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2.実際の金額を計算してみましょう

2-1.年間でなくタイヤの寿命までで計算する

よく「年間どのくらいお得か?」という比較を見ます。しかし、人によって年間走行距離は違いますし、最終的にどれだけ返ってくるものがあるのか分かりやすいとは言えません。そこで、「タイヤを寿命まで使った結果、トータルで幾ら得するのか」、これを分かるようにし、グレードの高いタイヤを買う価値があるのか検証していきましょう。

2-2.タイヤの寿命までに使う燃料費

市販タイヤの寿命は平均的に30,000kmほどと言われます。そしてもうひとつ大きなポイントとなるのが車そのものの燃費性能です。この2つの要素に、幾つかの1リットル当たりの燃料代を加え、タイヤを使い切るまでにかかる燃料費に換算してみましょう。

例.
タイヤが寿命までに走れる距離を30,000kmとします。
燃費の良いA車は1リットルの燃料で30km走れます。
30,000km走るまでに使う燃料は30,000/30=1,000Lです。
今、燃料が1リットル100円なら、タイヤ寿命までに使う燃料代は1,000×100=100,000円となります。

燃費の良いA車だけでなく、リッター20kmのB車、リッター10kmのC車を加え、燃料もリッター100円だけでなく125円、150円を加えて表にしてみます。(私の車はリッター6~7kmと悲しい車ですが最近はこんなに燃費の悪い車は少なくなりつつあるのでおいておきます)

車両車両燃費タイヤ寿命までに
使う燃料
タイヤ寿命までに使う燃料代
100円/Lの場合125円/Lの場合150円/Lの場合
A車30km/L1,000L100,000円125,000円150,000円
B車20km/L1,500L150,000円187,500円225,000円
C車10km/L3,000L300,000円375,000円450,000円




2-3.節約できる燃料代

勘の良い方や数学に強い方なら既にお気づきでしょうが、まだモヤモヤしている方も多いと思いますので話を進めます。ここで思い出してください。グレーディングの差1段階で、約1%の燃費差でした。これをもとに2つのタイヤで比較する形で燃料代の差分を算出してみましょう。表では便宜上、現在のタイヤと交換後のタイヤと表記しましたが、比較する2つのタイヤのグレーディング差と考えて頂ければ結構です。

まずはとても燃費の良いA車の場合

交換するタイヤの転がり抵抗係数
タイヤを使い切るまでに抑えられる燃料代(円)
AAAAAABC













A
A
A
100円/L-1,000-2,000-3,000-4,000
125円/L-1,250-2,500-3,750-5,000
150円/L-1,500-3,000-4,000-6,000
A
A
100円/L1,000-1,000-2,000-3,000
125円/L1,250-1,250-2,500-3,750
150円/L1,500-1,500-3,000-4,000
A100円/L2,0001,000-1,000-2,000
125円/L2,5001,250-1,250-2,500
150円/L3,0001,500-1,500-3,000
B100円/L3,0002,0001,000-1,000
125円/L3,7502,5001,250-1,250
150円/L4,5003,0001,500-1,500
C100円/L4,0003,0002,0001,000
125円/L5,0003,7502,5001,250
150円/L6,0004,5003,0001,500


結構燃費の良いB車

交換するタイヤの転がり抵抗係数
タイヤを使い切るまでに抑えられる燃料代(円)
AAAAAABC













A
A
A
100円/L-1,500-3,000-4,500-6,000
125円/L-1,875-3,750-5,625-7,500
150円/L-2250-4,500-6,750-9,000
A
A
100円/L1,500-1,500-3,000-4,500
125円/L1,875-1,875-3,750-5,625
150円/L2250-2250-4,500-6,750
A100円/L3,0001,500-1,500-3,000
125円/L3,7501,875-1,875-3,750
150円/L4,5002250-2250-4,500
B100円/L4,5003,0001,500-1,500
125円/L5,6253,7501,875-1,875
150円/L6,7504,5002250-2250
C100円/L6,0004,5003,0001,500
125円/L7,5005,6253,7501,875
150円/L9,0006,7504,5002250


普通の燃費のC車

交換するタイヤの転がり抵抗係数
タイヤを使い切るまでに抑えられる燃料代(円)
AAAAAABC













A
A
A
100円/L-3,000-6,000-9,000-12,000
125円/L-3,750-7,500-11,250-15,000
150円/L-4,500-9,000-13,500-18,000
A
A
100円/L3,000-3,000-6,000-9,000
125円/L3,750-3,750-7,500-11,250
150円/L4,500-4,500-9,000-13,500
A100円/L6,0003,000-3,000-6,000
125円/L7,5003,750-3,750-7,500
150円/L9,0004,500-4,500-9,000
B100円/L9,0006,0003,000-3,000
125円/L11,2507,5003,750-3,750
150円/L13,5009,0004,500-4,500
C100円/L12,0009,0006,0003,000
125円/L15,00013,5007,5003,750
150円/L18,0004,5009,0004,500

一気にお見せしましたが、おわかり頂けたでしょうか?
低燃費タイヤの影響をより色濃く受けるのは、1リットル当たりの燃料価格が高い場合だけでなく、もともと燃費の良くない車両なんです。2016年2月22日現在、燃料価格は非常に安価になっており、私の地域では100円/Lに迫る勢いです。こんな状況だとA車の場合、燃費性能’A’のタイヤから’AAA’のタイヤへ交換してもタイヤを使い切るまでに2,000円しか返ってきません。一方C車はというとグレーディング1段階あたり3,000円違います。例えば、燃料が100円/Lだったとしても‘C’から’AAA’なら4段階で12,000円も違ってきます。これは大きな差ですね。単純計算で1本3,000円も高いタイヤを買ってもトントンという計算になります。燃料が高ければ20,000に迫ります。





3.結論

➀タイヤによる低燃費性能の影響が色濃く表れるのは燃料価格が高いとき。
➁タイヤによる低燃費性能の影響が色濃く表れるのは元々燃費が良くない車両。
➂元々燃費の良い車はタイヤによる低燃費性能なんてあまり考える必要がない。

次はいよいよあなたにあったタイヤを選んでいきましょう

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