タイヤ空気圧について

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タイヤは2つの構造からできています。1つはトレッドと呼ばれグリップに関わる靴底にあたる部分、1つは空気を入れる高圧容器としてのケースの部分です。空気には大きく2つの重要な役割があります。その重要な役割を全うするため、正しい圧力にするのも重要なのです。

 

もくじ

1.空気の役割

2.なぜ空気なのか?

3.適正空気圧とは?

4.空気圧が適正でないとどうなる?

5.空気圧点検

6.インチアップなどサイズ変更した際の空気圧

7.独自に空気圧を調整したい場合

8.空気圧を上げると燃費があがる?




 

1.空気の役割

1-1.支える骨格の役割

一般的な乗用車は軽いものでも500kg、大きなミニバンでは2トン程もあり、タイヤに入っている空気がこれを支えています。

 

1-2.衝撃を吸収するバネの役割

衝撃を吸収することで乗り心地良くしたり、振動を直に伝えないことで静かにしたります。また、ホイールや車体へのダメージを大幅に軽減します。

 

映画などで見る馬車を思い出して下さい。木で出来た車輪はいかにも乗り心地が悪そうで、ガラガラと大きな音を立てます。そしてちょっとした石でも車輪が壊れて立ち往生してしまっているシーンを見たことがないでしょうか?木の周りにゴムを付けた車輪でそれなりに改善されたでしょうが、それでも空気入りのタイヤとは比べ物になりませんでした。

 

2.なぜ空気なのか?

2-1.軽い

気体である空気は常温常圧では1Lで1.2gほどしかありません(ゴムは1Lで1,000~2,000g)。重いものを運ぶにはそれだけ沢山の燃料が必要ですし、馬力も必要になります。軽いということが小さな出力で遠くまで行ける今日の自動車に繋がっているのです。

 

2-2.そこら中に存在する

それこそ我々は空気に囲まれて暮らしています。圧力を上げてあげるためにコンプレッサーでタイヤに押し込んであげる必要はありますが、通常の場所なら幾らでも言って良いほど誰にでもどこでも手に入れられます。

 

2-3.安い

ほぼタダです。空気を吸うのに税金をとられる国でもない限りはタダです。タイヤに押し込むための機器や電力などは必要ですけどね。

 

3.適正空気圧は?

3-1.適正空気圧とは?

タイヤにはロードインデックス(LI)と言って、充填する圧力によって支えることが出来る重さを表す指標があり、これが車に合わせた空気圧を決める1つの要素となります。その他にグリップや安定性などの走行性能や、乗り心地や静粛性など車内の快適性能など多くの要素があり、これらは空気圧の影響をうけます。そのため我々素人が最適な空気圧を決めるのは難しいのです。
そこで自動車メーカーが様々な計算や実験結果をもとに各車に最適な空気圧を算出してくれていますから、それに従うのが良いでしょう。基本的は自動車メーカー指定空気圧≒適正空気圧と言って差し支えないでしょう。好みがあればこれを基本にアレンジしましょう。

 

一部自動車メーカーでは低燃費性能を上げるために、技術力ではなくタイヤの空気圧を異常に上げるという暴挙に出ているところもあります。脱線ですが重要なことなので、ここでは一旦置いておいて最後にモノ申します。

 

3-2.自動車メーカー指定空気圧の調べ方

多くは下図の場所にシールがあり、記載されています。ベンツやフォルクスワーゲンは燃料タンクのフタの裏にシールがあることが多いです。アメ車などにおいては、右ハンドル化されていても、元の運転席側である左側のドア付近にあることもしばしばです。アルファロメオは車の取扱説明書にも記載がない場合もあるので、そんな時はディーラーに問い合わせてみましょう。

tireSize_doorside

 

国産車の多くは下図のように記載されており、赤四角で囲んだのがタイヤサイズで、赤丸で囲んだのがそのサイズでの自動車メーカー指定空気圧です。複数のタイヤサイズ設定のある車の場合は、ご自身の乗っているタイヤのサイズを確認してください。また前後で空気圧が違う車は分けて記載されています。

pressure_tirelabel

 

商用車バンなどでは荷物を沢山載せるか、軽荷かによって2種類の空気圧が記載されていることがあるのでそれに従ってください。
また、タイヤサイズやタイヤの種類、巡行速度や車に乗せる人の数や荷物の量などで設定空気圧の記載が複数書かれている場合もそれに従ってください。

 




 

4.空気圧が適正でないとどうなる?

4-1.空気圧が低い場合

➀燃費の低下

タイヤが無駄な変形を起こす為、過剰に熱を発生し運動エネルギーが熱エネルギーとして捨てられる為、燃費が悪化します。無駄なたわみにより接地面積が増えることも要因のひとつです。

 

➁偏摩耗(ショルダー摩耗)

無駄なたわみにより本来接地すべきでないショルダー部分が接地し摩耗します。本来より大きくたわむため抵抗も大きくなり摩耗が進みます。

 

➂タイヤの損傷

タイヤが過度に変形することで多くの熱を発生し、損傷に繋がります。また、接地した際のたわみは、本来たわんだ部分が半回転し上部に来る頃には元に戻っていますが、圧力が極端に低い状態で高速走行した場合には形状を元通り回復することが出来ません。その結果、先のたわみが戻り切らないまま接地し更に大きくたわみ、最終的にはバースト(破裂)します。

 

➃衝撃吸収能力の低下

キャッツアイや段差などを乗り越した際にタイヤのコードが切れる故障を起こしやすくなります。

 

➄操作性能の低下

無駄な抵抗が生まれるためハンドルが重くなるなど操作性能も悪化します。

 

4-2.空気圧が高い場合

➀グリップの低下

タイヤの適正範囲を超えて圧力を上げた場合、高圧ケースであるタイヤが本来の形状から、あるべきでない形状に変形します。その結果、接地面積が減ったり、接地形状がタイヤメーカーの想定と違ってしまい本来の性能が発揮されません。グリップが低下しカーブなどで膨らんだり、制動距離が伸びたりします。

 

➁偏摩耗(センター摩耗)

グリップ低下の項目で記載した通り異常な変形によりタイヤの中央部分が膨らみセンター摩耗します。

 

➂乗り心地の低下

バネとしての役割の空気を詰め込み過ぎればタイヤは硬くなり過ぎゴツゴツとした乗り心地になり、段差などではねやすくなります。

 

5.空気圧点検

5-1.重要性

先の項で述べた通り空気圧は高過ぎても低過ぎても良いことはありません。特に低い場合は致命的で高速走行時に前輪がバーストした場合にはコントロール不能になり重大な事故につながる可能性が高く危険です。また、点検によりパンクなどの異常を発見できるケースもあり重要です。

 

5-2.点検の仕方

ガソリンスタンドやタイヤを販売しているところなら、ほとんど無料でやってくれるので任せてしまうのが手間がなくて良いかも知れません。セルフのガソリンスタンドは設置されているエアゲージを使用し自分でやるところもあります。
注意点
➀タイヤが冷えているときに行うのが良い。
➁暖まっている場合は適正圧より高いからといって、むやみに空気圧を落とさない。
➂バルブコアの逆止弁がしっかり戻ったか確認する。
➃1本だけ空気圧が低い場合はパンクを疑う。

 

5-3.頻度

1ヵ月に1度程度が理想と言われています。それ以外にも高速道路利用の前や家族旅行など遠出をする前にも点検しておけば異物が刺さっているなどトラブルを避けられるケースがあるので、点検を強くお勧めします。

 




 

6.インチアップなどサイズ変更した際の空気圧

6-1.ロードインデックス(LI)と負荷能力

タイヤはタイヤサイズによって大抵LIが決まっています。LIは空気圧によって支えられる重さ(負荷能力)の指標で数字が大きいほど支えられる重さも大きくなります。インチアップした場合、多くはこのLIが下がってしまうので、下がった負荷能力分、空気圧を上げることで補填してあげなければいけません。

 

例えば
195/65R15 91Hからインチアップして215/45R17 87Wを履くとするとLIは4つも下がってしまいます。これは同じ空気圧でタイヤが支えることが出来る重さ(負荷能力)が減少することを意味します。よって、それを補填するにはLIの変化に合わせて空気圧を上げてあげることで、負荷能力を上げる必要があります。詳しくは別の機会に書きますが、下がったLIx10kPaほど上げる必要があるので、今回の例では40kPaほど上げる必要があります。

 

6-2.負荷能力が足りない

但し、ここで注意が必要なのは通常の乗用車用タイヤでは240kPaないし250kPaより空気圧を上げても負荷能力は上昇しないという点です。元々240kPaが自動車メーカー指定空気圧だとすると「ほとんど負荷能力を上げる余裕はない」ということになります。これは、高圧容器としてのケースとしてのタイヤが規格以上の圧力に負けて、負荷能力は上がらないのにただ膨らんでグリップが悪くなるだけということです。

 

6-3.エクストラロード、レインフォースドタイヤ

共に高圧容器として耐えられる圧力値を上げることで負荷能力を上げたタイヤの規格です。この規格のタイヤを利用することで通常の乗用車タイヤでは成しえなかった、より大きな負荷能力を得られるわけです。インチアップなどで負荷能力が足りない場合はこちらの規格のタイヤを使用しましょう。

 

7.独自に空気圧を調整したい場合

7-1.好きに調整したいんだけど

適正空気圧は自動車メーカー指定空気圧であるのは先に述べた通りですが、どうしても自分の好みで調整したい方もいるでしょう。それが絶対にダメなことではありません。但し、断っておきますが安全に関わる重要な問題なので、ラーメン屋でとりあえず「麺硬め」と言っておくのとはわけが違います。空気圧は高めがカッコいいとかもありません。とはいえ自動車メーカー指定空気圧が絶対ではないので、乗り心地や走行性の好みがあって調整することは否定しません。
その際には以下の7-2、7-3に注意して自己責任で調整してください。

※昔、よく言われた「高速走行時は空気圧を高め」にというのは、現在の一般的な規格のタイヤで日本の法定速度の下では必要ありません。160km/hを超える場合は必要が出てきますが常識的な公道走行での話ではないので割愛します。

 

7-2.空気圧を下げる場合

自動車メーカー指定空気圧を下回るのはお勧めしません。深雪や砂地を走る場合に低圧にするケースがあるのは事実ですが通常はタイヤに損傷を与える可能性があるためです。

 

7-3.空気圧を上げる場合

ノーマルタイヤで負荷能力が上がる最大空気圧は240kPaないし250kPa、エクストラロードとレインフォースドタイヤで280kPaないし290kPaです。これらを超えて空気圧を設定する場合はグリップが落ちることが想定されるので、その認識の下で運転してください。
空気圧を上げる場合は自動車メーカー指定空気圧の1割程度の上昇に抑えるのが良いと考えられます。

 




 

8.空気圧を上げると燃費があがる?

8-1.燃費が上がるってホント?

本当です。僅かではありますが上がります。硬いタイヤと柔らかいタイヤでは、どちらが抵抗が少ないでしょう?答えは勿論前者の硬いタイヤです。空気圧を上げていけばタイヤは硬くなりますから、僅かですが燃費が上がります。
更に異常に高圧を張っていけばタイヤが変形し、接地面積が小さくなるので抵抗も小さくなり、それなりに燃費が上がります。

 

8-2.燃費を上げたければ空気圧を上げれば良いってことでOK?

いいえ。異常な高圧は著しいグリップの低下を招きます。つまり安全を犠牲にして燃費を上げることになるわけです。通常の走行ではゴツゴツ硬いなど乗り心地が悪くなる程度で、大きな問題を感じないかも知れません。しかし、不意に子供が飛び出してきたような場合にはどうでしょう?制動距離が車一台分伸びただけで「何とか止まれた」「子供をはねてしまった」という大きな差になるわけです。

 

「3.適正空気圧」の項で触れた一部自動車メーカーの暴挙というのは、これのことです。セ〇ナのSハ〇ブリッドやミ〇イース、ア〇トエコなど負荷能力が上昇しないタイヤに変形が出る可能性のある空気圧を自動車メーカー指定空気圧としています。メーカーにも言い分があるでしょうが、「安易に燃費を上げるため」と考えるのが妥当でしょう。当然、一定の安全性は確保した上でのこととはいえ、宣伝文句の為の燃費>>安全性能というのは感心しません。

 

まとめ

・適正空気圧≒自動車メーカー指定空気圧
・安全性能や燃費の為にも空気圧は重要
・月イチ点検が理想
・自己判断で空気圧調整する場合は下げることは避ける
・自己判断で空気圧を上げる場合は1割程度にする

 




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