無用なタイヤ交換をさせられないために必要なたった1つのこと

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もくじ


先日、ナビゲーターのお店に不安な表情を浮かべた女性のお客様が相談に訪れました。ガソリンスタンドで、「こんな劣化したタイヤ履いてたら危ないですよ。小石を踏んだらバーストします。」と言われたそうです。強引にタイヤ交換されそうになったものの、ご主人と相談するからと言って何とか帰ってきたとのことでした。
そこで、ナビゲーターのお店にいらして、実際のところ交換の必要があるのか見てほしいとのことでした。
小石を踏んだらバーストするとは穏やかじゃないですね。早速、点検してみました。

実際タイヤの状態

実際のタイヤの写真ではないですが、これくらいの劣化具合のタイヤでした。
なるほど、サイドウォールに経年劣化と思われる細かいヒビが多く出ています。製造から3年経っていて、交換したのちょうどそのくらいの時期とのことでした。紫外線の影響を受けやすい駐車場だと、3年も経てばこのくらいの劣化はよくあることです。

本当に交換が必要?

さて、このくらいの劣化度合いで交換が必要なのでしょうか?
正直に言って「安全のために、そろそろ交換を検討した方が良いですね」なら同意しますが、「小石を踏んだらバーストします」は同意できません。靴底にあたるトレッドも同程度の劣化度合いで細かいヒビが入っていましたが、深いクラックなどはありませんでしたし、溝も十分にありました。
劣化しているので効きが悪くなっているのは間違いないですが、小石でバーストは脅しが過ぎます。
今回の女性に車の利用状況を聞いたところ、近所のお買い物や子供の送り迎えなど、近所のちょこちょこ走りだけで、スピードも出さないし高速道路に乗ることはないとのことでした。
劣化は出ていますが、その使用法なら直ちに交換しなければというほどではないですよとお話しました。但し、制動距離が伸びているのでスピードを出し過ぎないことと、雨の日の運転はより安全意識を持ってくださいと付け加えましたところ、とりあえず安心したと笑顔になって帰って行かれました。

不安をあおる営業トーク

実は「小石を踏んだらバーストします」を聞いたのは初めてじゃないんです。おそらくナビゲーターのお店の近くに、そういった営業トーク(?)を使っているガソリンスタンドがあるのでしょう。何年も前から聞きますから、後輩が見て真似している可能性すらあります。
他にも「高速乗ったらバーストします」やら「夏の暑い日に破裂します」なんて話もよく聞きます。ある外車ディーラーでは「残り溝半分で、危ないのでタイヤ交換してもらわないと車検が通せない」と言われるそうです。法律では残り1.6mmでアウトなんですが、残り溝半分というと、大体3mm以上残っていることになります。こんな営業許されるのでしょうか?
タイヤは2年で交換するべきというWebサイトもあります。
安全に関わる部分なので、そんな脅しをうけると心配になって交換する方もいるでしょう。新しくすれば安心安全なのは間違いないです。でも、必要のない交換をしてお財布を痛める必要はありません。色々なものが値上がりして、給料も上がらない。一生懸命稼いだあなたのお金を無駄遣いする必要はないんです。
かつてミシュランのCEOが「もったいないからタイヤは最後まで使え」と言っていたという話を聞いたことがあります。タイヤメーカーなら早めに交換してたくさん売りたいと考えそうなものですから、面白い人だなと思ったのを覚えています。


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とはいえ危ないタイヤで走っている車も存在します。本当に交換しなければならないタイヤとは?

危ないタイヤとは(ヒビ)

劣化がひどく交換が必要なのは、こんな深いクラックが入っているケース。場所にもよりますが、マイナスドライバーなどを突っ込んでみると2~3mmも入ると「内部構造に到達している」可能性が高いので交換をお勧めします。
写真はタイヤケースとトレッドの間の貼り付けてある部分で厚みがあるのですが、ここまでくると内部のスチールベルトまで水が入ることでベルトが錆びて膨張し、トレッドがはがれる可能性が出てきます。

またサイドウォールは構造が薄く作られている上、たわんで変形する場所なので、注意が必要です。写真のようなリム際は厚みがありますが、ここまで深くなると交換を検討しても良いレベルになります。

危ないタイヤ(摩耗)

残り溝1.6mm。1.6mmまで到達してしまうと公道走行が禁止ですので、1.6mmに達する前の写真の状態くらいが交換時期の限界となります。濡れた路面での制動距離が急激に延びることが実験で証明されているため、法律で決まっているわけです。ミニバンや軽・コンパクカーに多い角だけが減るショルダー摩耗にも注意が必要で、中央は溝があっても肩に溝がないとカーブ時に滑ることがあります。トレッドを使い切って、制動力の低いケースゴムが露出しているケースは特に危険です。
タイヤの溝を見るときは、前輪ならハンドルをしっかり切ってから止まってみれば、地面に這いつくばらなくても済みます。

危ないタイヤ(トレッド硬化)

タイヤは大きく分けて、空気を入れるケースと靴底にあたるトレッドの2つの部位から構成されています。ケースに深いヒビが入ればバーストの危険があります。一方でトレッドの硬化では、バーストの危険はありませんが、効き悪くなるのは想像に難くないでしょう。新品の柔らかなときは路面に密着し粘り強くきいてくれますが、プラスティックのように硬くなってくると路面に密着しないので、中々止まらないのがイメージできます。
また、劣化で脆くなった状態で強い力がかかると、ゴムが小さく千切れ飛んでいく(チッピングと言います)ので制動距離が延びてしまいます。
とはいえ、タイヤの硬さが大丈夫かなんて、普段からタイヤに触れているプロでもなければわかりませんので、信頼できるタイヤショップに調べてもらうのが良いと思います。心配なら2件回って同じようなことを言われたら納得いくでしょう。先に「すぐには買わないけど、見てもらうだけでも良い?」と前置きしておけば、「ありがとう、考えるね」なんて帰りやすかもしれません。
交換の必要があると言われたら、家に帰ってゆっくりTire-Navigator(タイヤナビゲーター)でも見て検討してください(笑)。 タイヤの硬度を自分で調べたい人は硬度計が売られています。安いものなら3,000円ほどです。好きな人はリンクを貼っておきますので見てみて下さい。




安全は守る。あなたのお金も守る。

トレッドがはがれたタイヤです。上にあったタイヤケースとトレッドの間の貼り付けてある部分に深いクラックが入っていたタイヤは最悪こうなります。大抵は夏の高速道路でタイヤ内圧に耐えられなくなって起こります。時速100kmで突然起こったら生きた心地がしないでしょうね。お財布を大事にし過ぎて、こうなっては本末転倒です。
残念ながら先のように、その場の儲けだけを考えて、不安をあおる商法を行うプロとは言えない方がいるのも事実です。
一方で、多くは真っ当なプロです。長い目で見て信用をされる方が商売は長続きするものです。信用できるタイヤ屋さんとお付き合いを持っておくのも一手ですし、冒頭の女性のように一旦帰って、他のお店に相談するのも一手です。疑問を持ったら、タイヤだってセカンドオピニオンですよ。
スマホで様々な情報を手軽に調べられる時代です。ユーザーも正しい情報を持って安全もお財布も守りましょう。
そもそも、当サイトだって長くタイヤ業界に身を置くナビゲーターが「タイヤは高い!分かりにくい!問題のある販売店がある!あなたの求めるタイヤがお得に買えないか?」と考えて立ち上げたサイトなのですから。

緊急時に真価を発揮する

タイヤが真価を発揮するのは、いわゆるヒヤリハットのときです。
結局、しまった!っと急ブレーキを踏んだ時に止まってくるれるのか、ぶつかってしまうのかなわけです。
普段の運転では、ある程度劣化したタイヤでも大抵は問題が起きません。 しかし困ったことに、普段かからない大きな力がかかったとき、つまり一番止まって欲しい時に、溝のないタイヤや劣化したタイヤは止まらないのです。繰り返しになりますが、「やばい」ときにしか性能が足りているか分からないから困りものなのです。

まとめ

たった1つの大事なことは、疑問を持ったらその場で交換しないで、誰かに相談することです。

1.突然、交換が必要と言われた場合

先に今日は換えないと前置きして、話だけ聞きましょう。
納得のいく提案なら交換しても良いですが、冷静に判断するため一旦帰ることをお勧めします。タイヤの適正価格は分かりにくいので、見積だけもらって帰るのがベストです。
もちろん疑問を持ったら必ず一度帰りましょう。引き止められて帰りにくい場合も、急いでいる、パートナーに相談しなければならない、何なら親の車(会社の車)だから、そもそも先に今日は換えないと言ったとか、何しろその場を離れましょう。

2.交換の目安を確認

➀溝は1.6mmに到達する前。
➁ゴム劣化は使用開始から3~5年経過したら交換時期。
ゴム劣化については、紫外線の影響などで劣化状況に差が出てしまうので、心配な時は信頼できるプロに相談しましょう。

3.他の人に相談

そこ以外の信頼できるプロやパートナー、車に詳しい知り合いなどに相談しましょう。当サイトを見返してもらってもうれしいです。

4.必要なければOK

交換が必要ないと言われたら安心です。安全運転で帰りましょう。
もし交換が必要で最初に指摘を受けたところと同じことを言われたら、指摘してくれたことに義理立てて、最初のお店に戻ってあげるのも良いでしょう。
ただその前に、見積をもらっているなら、それは伏せて相談したところにも見積もりをしてもらいましょう。ちょっとやらしい感じがするかもしれませんが、あなたの大事なお金なのでずるくないですよ。後出しじゃんけんが普通の業界なので販売店側も見積金額を見て少しくぐってくるのもよくあることです。見積や対応を見てあなたが買いたいところで買えばいいんです。

以上が安全は守りつつ無用なタイヤ交換をしない方法です。ありがたいアドバイスをくれる方がほとんどですが、お客様のためより商売が先に立ってしまう人に乗せられないように賢くふるまいましょう。

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