日本と欧州のラベリング制度の対比

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欧州のタイヤには日本の低燃費タイヤのラベリングを取得していないもののEUのタイヤラベルが公表されている場合があります。そういった場合は折角ですからEUラベルをタイヤ選びの参考にしたいところですが、日本ラベルの付いている他のタイヤとの比較が出来ません。そこで日本ラベルとEUラベルとを対比してみましょう。

 

燃費ラベル対比

定義

転がり抵抗係数日本欧州
RRC ≤ 6.5AAAA
6.6 ≤ RRC ≤ 7.7AAB
7.8 ≤ RRC ≤ 9.0AC
9.1 ≤ RRC ≤ 10.5BE
10.6 ≤ RRC ≤ 12.0CF
12.1 ≤ RRC-G

見ての通り転がり抵抗係数のラベルの記号は違えど全く同じ基準で分けられています。それもそのはず欧州で基準がつくられ、それを真似する形で日本も基準を作ったからです。ただ制度が施行されたのは民間団体の制度となった日本が先になり、お役所が絡んだ欧州が後発となりました。欧州では車外騒音規制も盛り込まれたことも後発になった原因かもしれません。お役所が関わったことで欧州の方がより厳格とも言えます。(EUラベルのDは未使用)


上記の表を対応図にしてみると左図のようなります。基準が全く同じなのですから当然全く同じで設定した記号の差のみになるはずです。しかし、実際にはそうならないものがあるので「はず」と言っているわけです。日本でも海外でも全く同じものだそうなのでピレリ CintuRato P7 Blueを例にとってみましょう。245/40R18 97Yの日本ラベルは「AA」でEUラベルは「B」と対比通りです。しかし、225/45R17 91Yは日本ラベルは「A」でEUラベルは「B(日本ラベルに置き換えるとAA)」と、同じタイヤでも欧州ラベルが一つ上のラベルになることがあります


実際

日本、欧州で共通販売されているタイヤのラベリングから実際の対比イメージを作ってみたところ、凡そ右図のようになりました。先の例のP7 Blueの225/45R17 91Yを青の水平線で示しました。EUラベルを基準とすれば日本ラベルの方が少し低いラベリングが出ています。なぜ基準が同じなのに同じ結果にならないのでしょう。
実は測定方法に違いがあるための考えられます。日本では測定用ドラムにタイヤを押し付けて転がり抵抗の測定をしますが、EUでは実車につけて測定をします。この測定方法の差が結果の差を生んでいると考えられます。しかし、その差は大きなものではありません
参考)ドラム試験

 

ウェットラベル対比

定義

ウェットグリップ性能日本欧州
1.55 ≤ GaA
1.40 ≤ G ≤ 1.54bB
1.25 ≤ G ≤ 1.39cC
1.10 ≤ G ≤ 1.24dE
G ≤ 1.09-F

ウェットグリップ性能も転がり抵抗係数と同様に、日本と欧州でラベル記号に差がありますが基準は同じです。(EUラベルのD、Gは未使用)


上記の表を対応図にしてみると左図のようなります。転がり抵抗係数と同様に基準が全く同じなのですから当然全く同じで設定した記号の差のみになるはずです。転がり抵抗係数の例のピレリ CintuRato P7 Blueでは全てのサイズでウェットグリップ性能が日本ラベル「a」でEUラベル「A」と同ラベルです。しかし、ミシュラン ENERGY SAVER PLUSでは、185/60R15 88H XLなど一部のサイズで日本ラベルは「b」で、EUラベルは「A(日本ラベルに置き換えるとa)」一つ上のラベルになることがあります

 


実際

しかし、日本、欧州で共通販売されているタイヤのラベリングから実際の対比イメージを作ってみたところ、凡そ右図のようになりました。これも転がり抵抗係数と同様にEUラベルを基準とすればEUラベルの方が少し高いラベリングが出ていると言えます。あくまで傾向ですが出来るだけ多くの日本/EUラベルを統計すると転がり抵抗係数よりは差異は少ないようです。







まとめ

➀日本ラベルとEUラベルには多少のズレがある。
➁日本ラベルの方が若干良いラベリングが出ることがある。
➂測定方法の違いがラベリングのズレと考えられる。
※日本の方が規制が緩いので、その影響もないとは言えない。
➃ラベルの差異は大きくないので定義通りの対比で差し支えない。
つまり、EUラベルに転がり抵抗係数「C」とあれば日本ラベルでは「A」と考えても概ね差し支えないということです。

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