スタッドレス用アルミホイールに起きている異変とは

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1.起きていること

 ご存じの方も多いと思いますが中国にある企業の多くが政府による電力の供給制限を受け、生産を大幅に落としています。
その稼働率はなんと通常の3割から5割!

2.なぜ、電力の供給が制限されているのか

 中国は今、政府が石炭発電を大幅に制限しています。二酸化炭素の排出量や自国環境の悪化のためSOxの排出を抑えなければならないとの理由や、石炭が高騰しているためだと言われています。前者が本当ならば中国が環境についての政策を優先するようになった、環境については良い傾向と考えられますが、「あの中国が?」と疑問符も付きます。後者についてはちぐはぐで石炭が高いからと生産を落とせば、自国経済にとってマイナスですから本末転倒です。それを考えるとこちらが主たる理由ならば遠くない将来、供給開放に舵を切るように思われます。
 しかし、アリババに対する圧力や有名芸能人の不可解な逮捕など民間で活躍している人への圧力を見ると、これも表向きのように勘ぐってしまいます。
即ち、あくまで「中国共産党が主導の経済成長」でなければならないという、お国事情もあるとすると今後も供給の見通しは暗いでしょう。

3.スタッドレス用アルミホイールへの影響

 スタッドレス用の安価なアルミホイールはほぼ100%中国で生産されているといっても間違いではないでしょう。そのため、この9月頃からの政府による稼働制限のあおりをもろに食ってしまっています。それ故、冬用の安価なホイールを生産しているメーカー全てで供給不足になっており、次に生産されてくるホイールの状況が不透明になっています。欲しい時にないと困るので多くのショップは抱え込みを行っています。

4.その他の悪い要因

 今秋、アルミホイールは世界的な原油や天然ガスの高騰やアルミインゴットの高騰などが原因で多くのメーカーで一度値上げされました。更なるエネルギーの高騰などで11月から12月にまた値上げを実施するメーカーが多くあります。どうせ上がるなら「先に買っておけば得」と考えるショップも少なくないため、より抱え込みが加速しています。
 そして価格以外に物流にも問題があります。コンテナ不足はかなり以前から言われていますが、今も継続しています。加えて実に中国らしいのは高い金を払う方の荷物を運んでしまうという問題です。元々の契約があっても「うちはもっと出すからうちの荷物を先に運べ」と言われれば、それがまかり通ってしまいます。アパレルなど利益率が非常に高い製品は金を積んで割込みしてでも荷物を運べますが、元々利ザヤが非常に低い廉価アルミホイールはそれが出来ないので更なる滞留を生んでしまいます。生産されてもいつ出る船に載せてもらえるかわからない状態なのです。

5.現在の実態

 先にも書きましたが、現在販売店ではアルミホイールの確保に動いています。ナビゲーターもあっちこっち電話をかけてホイールの確保に奔走していました。概ね今期使うものは確保できましたが、今は追加しようとしても目処がつかないものが多くなっています。
特に軽自動車用の14インチホイールやライズ、ロッキー用の16インチは取り合いになっている。

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6.エンドユーザーへの影響

 現時点のエンドユーザーへの影響は既に行われてしまった値上げで、昨年より数%高い値付けがされているお店が多いと思います。
 更に今後、もう数%の値上げが行われる可能性が高いです。
 最も問題なのは、そもそも買えないかもしれない問題です。今のところほとんどの店舗では何かしらのアルミホイールを確保しているため、すぐには問題が出ないと考えられますが、今後足りなくなる可能性は十分に考えられます。アルミホイールセットで購入を検討している場合は早めに予約だけでもしておいた方が良いかもしれません。

まとめ

・中国政府の電力制限で工場稼働率が3割から5割に制限されている
・アルミホイールの供給不足に陥っている。
・原材料費の高騰などでアルミホイールの価格が数%上昇している。
・多くのホイールメーカーで11月から12月に更なる値上げを予定している。
・ショップが抱え込んでいるので今すぐにないわけではない。
・今期必要な分が足りるかどうかは不透明。
・最も不足が危惧されているのは軽自動車用の14インチホイール。 ・アルミホイールセットで購入を検討している方はちょっと急いだ方が良い。
・ショップが抱え込んだ分で足りる可能性もなくはない。
・もし手に入らなかったらスチールホイールを狙ってみるとあるかも。
・どうしても手に入らなかったら純正ホイールなど今履いているホイールにスタッドレスタイヤを組み替えて、春までに考える。

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「スタッドレス用アルミホイールに起きている異変とは」への1件のフィードバック

  1. 中国というより、急速に電気にシフトしているのは世界的な話し。こういったエネルギーの転換、いわゆる2回目の産業革命ですが、変化のスピードに日本がついていけていないだけ。インフレ傾向、もの不足、特に海外で生産が多い日本、むしろチャンスでは?

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