全てのタイヤを過去にするオールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER」ダンロップより発売

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もくじ

全てのタイヤを過去にするという表現はネタのようですが、決して大袈裟過ぎる表現ではありません。ダンロップタイヤから、この度2024年10月に販売が開始された「SYNCHRO WEATHER(シンクロ ウェザー)」は、それほどまでに画期的で高性能なタイヤです。タイヤ販売員として10年以上の経験と、化学分野で大学修士課程まで修めた経験から、このタイヤの凄さを解説します。
1.オールシーズンタイヤと日本の道路
2.「SYNCHRO WEATHER(シンクロ ウェザー)」の特徴
3.「SYNCHRO WEATHER(シンクロ ウェザー)」の秘密
4.オールシーズンタイヤ路面対応表
5.SYNCHRO WEATHER(シンクロ ウェザー)発売サイズラインナップ
6.まとめ

1.オールシーズンタイヤと日本の道路

ノーマルタイヤ(夏用タイヤ)、スタッドレスタイヤに続く、3つ目のカテゴリーのタイヤで、国内では2016年にグッドイヤーによる日本市場投入を皮切りに普及が進んできました。しかし、2020年時点で1%未満との調査結果もあり、2024年現在でも数%程度と、海外の降雪地域では6~7割も普及しているのに対して中々普及が進まない現状があります。
その主な原因は、日本特有の気候に原因があると考えられています。日本は降雪地域の多くで、気温が0℃付近を行ったり来たりすることも多く、雪が融けたり固まったりして氷になり滑りやすくなります。また、山が多い国土の関係上、人口が集中し交通量も多くなりがちなため、融けた雪がタイヤによりツルツルに磨き上げられ、その氷盤路面はタイヤには非常に厳しい環境です。おまけに0℃付近の気温では、タイヤが氷に触れると表面に水膜が発生し、非常に滑りやすくなるのです。これらのことから、海外で普及しているような従来型のオールシーズンタイヤでは対応しきれず、スタッドレスタイヤに履き替えるのが主流になっています。当然、2セットのタイヤホイールを保有するのですから、お金もかかるし、保管スペースは必要だし、履き替えの手間や費用がかかるなどの不便を強いられてきました。オールシーズンタイヤが十分な冬道性能を発揮してくれれば、年中履きっぱなしで良いので、これらのストレスから解放されます。

2.「SYNCHRO WEATHER(シンクロ ウェザー)」の特徴

本タイヤの最も注目すべき特徴は、夏のドライ路面から凍結路面を含めたすべての舗装路面に十分に対応している点で、2024年10月現在、唯一凍結路に対応していることを、メーカーが明確にうたっているタイヤです。
国内で販売されている本モデル以外のオールシーズンタイヤは、各社の自社基準で凍結路はスタッドレスタイヤの装着を推奨し、「△可」または「×不適」などとしています。メーカーから販売員へも、エンドユーザーには凍結には不適切だと説明するように案内されています。
一方、「SYNCHRO WEATHER(シンクロ ウェザー)」はというと、メーカーサイドが自信を持って氷上でも効くと宣言しているわけですから、従来のオールシーズンタイヤとは一線を画す、本当のオールシーズンタイヤと言って良いでしょう。

ウェットグリップ性能

ウェットグリップ性能はほとんどのサイズでグレーディング’b’を獲得しており、同社のENASAVE EC204(エナセーブ イーシーニーマルヨン)と比較して、同等以上の発揮することが、走行テストにより証明されています。一般的な新車装着タイヤのウェットグリップ性能はグレーディング’b’~’c’ですから、「SYNCHRO WEATHER(シンクロ ウェザー)」は平均的な新車装着タイヤと同等程度以上のウェットグリップ性能を持っていることを意味します。
もちろん、同社のスタッドレスタイヤスタンダードモデルWINTER MAXX 02(ウインターマックス ゼロツー)との比較ではその差は歴然です。WINTER MAXX 02もスタッドレスタイヤとしてはウェットグリップ性能が高いモデルですが、それでもウェット路面にはやや弱く、熱い路面では更にダレてグリップ性能が悪くなり、耐摩耗性能も大きく低下します。

氷上グリップ性能

驚きなのは、氷上制動性能であり、同社のスタンダードモデルスタッドレスタイヤWINTER MAXX 02(ウインターマックス ゼロツー)との比較で同等の氷上性能を発揮している点です。いくら氷上性能が良くなったと言ってもスタッドレスタイヤほどではないだろうとの考えを良い方向で裏切ってくれました。氷盤路面で時速20kmから停止するまでのテストで、スタンダードモデルのスタッドレスタイヤと同等程度の性能だったのですから予想外です。
氷盤路面に更に強い同社最新モデルWM03やブリヂストンのブリザックなどには及びませんが、ほとんどの方には十分な性能と言えるでしょう。

3.「SYNCHRO WEATHER(シンクロ ウェザー)」の秘密

後述する2の特徴が、従来のタイヤと「SYNCHRO WEATHER(シンクロ ウェザー)」の大きな違いで、その高いグリップ性能の発揮に寄与してくれます。
その前に、ゴムという身近で特殊な素材について少し説明させてください。ゴムが、金属やガラス、プラスチック、木材などと大きく違う点は、伸ばしたり、つぶしたりしても元の形に戻る点にあり、これをゴム弾性と言います。この性質は、紐のようなゴムの原料素材を、部分的に3次元的に結合させることで作られる網目構造により発揮されますが、これには硫黄を使います。この結合は強固で簡単に切れることはありません。そのため、ゴムは何度も何度も伸びたり縮んだりを繰り返すことができるのです。製造段階でこの結合の割合を調整することで、目的に合ったゴムの硬さを決めており、大まかに言えば、硬くしたければ沢山結合させ、柔らかくしたければ程々にといった具合で調整します。

水スイッチ

point02ココが天才!
先ほど説明した紐状のゴム原料を硫黄で結合する代わりに、一部をイオン結合に置き換えます。そうすると、水に触れた部分ではイオン結合が一時的に切れます。切れた部分は網目構造から解放され自由に動けるため柔軟になり、グリップ力が増します。水がなくなれば再度手をつないで剛性や耐摩耗性能が戻るという新素材ができたわけです。食塩(塩化ナトリウム)は乾燥状態ではNa(ナトリウム)とCl(塩素)がしっかり手をつないでいますが、水に入れると溶けてナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl-)のバラバラの状態になり、水が蒸発すればまた手をつないで元通りNaClになるという小学校の理科の授業を思い出しましたでしょうか?
しかも、これは水に触れた部分でのみ起こるため、表面は柔軟になりグリップ力を増しますが、ゴム全体が柔らかくなってしまうわけではないところが味噌で、剛性などが極端に落ちることはないわけです。

温度スイッチ

point02ココが天才!
グリップ成分の一部を基質のポリマーと結合させずに遊ばせておくことで、通常硬化してしまう低温下でもゴムの柔軟性を維持して、高い氷上グリップ性能を発揮しています。結合はしていませんが基質を支えるように構造内に存在しているため、高温下でも柔らかくなり過ぎず剛性が保たれます。カタログには明示されていませんが、担当営業に聞いたところ、同社の最新スタッドレスタイヤWM03に採用されている液状ファルネセンゴムに準じた素材が採用されているとのことです。


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4.オールシーズンタイヤ路面対応表

既に触れている通り、「SYNCHRO WEATHER(シンクロ ウェザー)」の路面対応表では、国内で初めて氷上路面に「〇」をつけています。AS1についている冬用タイヤ規制時も通行可能を意味する「スノーフレークマーク」に加えて、国際的な氷上性能テストに合格したタイヤを示す「アイスグリップシンボル」も刻印されてます。
ただし、過酷な状況では最新のスタッドレスタイヤの使用が推奨されており、当然ですが、最新のスタッドレスタイヤであっても滑るときは滑るので過信は禁物です。「滑らないタイヤはない」これを忘れてはいけません。

5.SYNCHRO WEATHER(シンクロ ウェザー)発売サイズラインナップ

korogariTeiko26:転がり抵抗係数 wetGrip26:ウェットグリップ性能 
korogariTeiko26:楽天 wetGrip26:アマゾンwetGrip26:yahooショッピング
対象のタイヤサイズの「R」をクリックすると楽天で、「A」をクリックするとAmazonで、「Y」をクリックするとYahooショッピングで購入できます
インチタイヤサイズkorogariTeiko26wetGrip26備考korogariTeiko26wetGrip26wetGrip26
19195/50R19 88HAbRAY
225/55R19 103VAb1RAY
235/55R19 105HAb1RAY
18225/40R18 92VBb1RAY
245/40R18 97VBb1RAY
215/45R18 89WBbRAY
225/45R18 95VBb1RAY
235/45R18 98VBb1RAY
215/50R18 92VAbRAY
225/50R18 99VAb1RAY
235/50R18 101VAb1RAY
225/55R18 102VAb1RAY
235/55R18 104VAb1RAY
225/60R18 104VAb1RAY
235/60R18 107VAb1RAY
17205/45R17 88VBb1RAY
215/45R17 91WBb1RAY
225/45R17 94VBb1RAY
215/50R17 95VAb1RAY
225/50R17 98VAb1RAY
205/55R17 95VAb1RAY
215/55R17 94VAbRAY
225/55R17 101VAb1RAY
195/60R17 90HAbRAY
215/60R17 96HAbRAY
225/60R17 99VAbRAY
225/65R17 106HAb1RAY
16195/55R16 91HAb1RAY
205/55R16 94HAb1RAY
195/60R16 89HAbRAY
205/60R16 96HAb1RAY
215/60R16 95HAbRAY
195/65R16 92HAbRAY
205/65R16 95HAbRAY
15165/55R15 75HBbRAY
165/60R15 77HAbRAY
185/60R15 84HAbRAY
175/65R15 88HAc1RAY
185/65R15 92HAc1RAY
195/65R15 91HAbRAY
備考1.エクストラロードタイヤです。
扁平率45以下はリムプロテクター付きタイヤです。
全サイズ低車外音タイヤです。

6.まとめ

・2024年10月ダンロップタイヤより、SYNCHRO WEATHER(シンクロ ウェザー)発売。
・氷上路面に「〇」を付けた国内初のオールシーズンタイヤ。
・従来のオールシーズンタイヤとは別と考えていいほどグリップ性能が高い。
・同社ノーマルタイヤ(夏用タイヤ)EC204以上のウェットグリップ性能を持つ。
・同社スタッドレスタイヤWM02と同程度の氷上グリップ性能を持つ。
・同社最新スタッドレスタイヤWM03の氷上グリップ性能には及ばないため、氷上性能を最重要視するなら、最新スタッドレスタイヤを履く方が良い。
・スタッドレスタイヤを買うか毎回迷っているなら、このタイヤをお勧めする。

※本ページの画像の一部はダンロップタイヤのホームページよりお借りしています。





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