2021年-2022年シーズンの 最強スタッドレスタイヤを決めたった(勝手に)

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1.最も止まるスタッドレスタイヤを決めます

当サイトが勝手に決めるわけですが基本的にデータに基づく根拠のある話。もし良かったら分かりにくいスタッドレスタイヤ選びの参考にしてみてください。

2.前回まで

前回は2017年-2018年シーズンに比較しましたが、その時の最強はブリヂストンVRX2、次いでミシュランのX-ICE3+でした。有名メーカー3社が新製品を発表した今シーズン最強はどのタイヤになるのでしょうか。
詳しくはこちら2017年ー2018年シーズンで一番止まるスタッドレスタイヤを(勝手に)決めたった

3.いざ比較

タイヤ公正取引協議会に提出されている氷上制動データに基づいて話を進めますが、何しろ毎回各社条件がバラバラです。何とか条件を均等にするように努力して比較を試みます。
尚、既存のタイヤについては前回に任せるとして、今シーズン新発売のタイヤに注目することで考察していきます。

3-1.BLIZZAK VRX3とiceGuard7 iG70

今シーズンは氷上での効きに定評のあるブリヂストンのブリザックとヨコハマのアイスガードが同時に新製品を発表しています。事実上の頂上決戦ではなかろうか。

タイヤ銘柄ブリザック
VRX3
車種50プリウス
排気量1,790cc
前輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ195/65R15 91Q
タイヤ空気圧F)250kPa R)240kPa
場所東大和
スケートセンター
路面状況氷盤
気温4.8℃
路面温度-0.2℃
試験速度20km/h
制動距離13.18m
タイヤ銘柄アイスガード7
iG70
車種50プリウス
排気量1,790cc
前輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ195/65R15 91Q
タイヤ空気圧F)250kPa R)240kPa
場所軽井沢風越公園
アイスアリーナ
路面状況氷盤
気温5.1~5.2℃
路面温度-2.7℃
試験速度20km/h
制動距離11.0m
 なんと!もっとも効くスタッドレスの代名詞「ブリザック」が同じ年に出た他のモデルに負けただと!?しかも車種や初速などの条件も一致しているではないか。後発でモデルチェンジした他メーカーのモデルに負けたことはあるが、これは快挙だ。
 しかし、待ってほしい。ブリヂストンの肩を持つわけではないがナビゲーターとしては、この結果をそのまま受け入れるわけにはいかない。なぜなら以前からナビゲーターが重要視している路面温度に大きな差があるためだ。
たった2.5℃ではないかと思う方もいるだろう。しかし、この差は実はそれなりに大きい。なぜなら結局、「氷が滑るのは水膜だ」というのは各メーカーが対策に粉骨砕身することからも明らか。その氷が溶ける温度に近い0℃付近の温度は1.0℃であっても大きな差になりうるのだ。
 だからといって、これが逆転するほどの差なのかははっきりと言えない。これは困ったぞとデータを眺めていると、過去のデータにありました!それがこれです。

タイヤ銘柄ブリザック
ヴイアールエックス2
BLIZZAK VRX2
車種50プリウス
排気量1,800cc
前輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ195/65R15 91Q
タイヤ空気圧F)250kPa R)240kPa
場所秋田県立スケート場
(室内)
路面状況氷盤
気温1.3℃
路面温度-2.3℃
試験速度20km/h
制動距離10.35m
 これは良いですね。データはVRX2のものですが、アイスガード7の試験温度に近く、尚且つ0℃からは少し遠い。使えます。
 試験条件は違うもののVRX3はVRX2より制動性能が20%向上しているわけですから、この時の条件でVRX3の氷上制動距離を測定したとすると「10.35mx0.8=8.28m」となります。温度が高い条件で20%の氷上制動の向上ですから、低温ではそこまでの差はない可能性はあります。しかし-2.3℃では10%の氷上制動の向上だとしても「9.35m」でVRX3に軍配が上がります。
 しかもこれアイスガード7はVRX2にもちょこっと負けてるかもねってことになりますよね。

3-2.iceGuard7 iG70とICE NAVI8

次はヨコハマのアイスガード7とグッドイヤーのアイスナビ8を比べてみましょう。

タイヤ銘柄アイスガード7
iG70
車種50プリウス
排気量1,790cc
前輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ195/65R15 91Q
タイヤ空気圧F)250kPa R)240kPa
場所軽井沢風越公園
アイスアリーナ
路面状況氷盤
気温5.1~5.2℃
路面温度-2.7℃
試験速度20km/h
制動距離11.0m
タイヤ銘柄アイスナビ8
ICE NAVI 8
車種ゴルフ7
排気量1,190cc
前輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ195/65R15 91Q
タイヤ空気圧F)230kPa R)230kPa
場所住友ゴム工業株式会社
名寄テストコース
路面状況氷盤
気温-2.7~-2.0℃
路面温度-3.2~-3.0℃
試験速度20km/h
制動距離9.97m
 これはちょっと比較になりませんね。まず車種が違うのが大きな問題になります。フォルクスワーゲンのゴルフ7(1,190cc)が1,240kgであるのに対し、50プリウスは標準的なGグレードで1,350kgと110kgもの重量差(※参考)があります。また僅かですがタイヤの空気圧も低い方がグリップには有利です。路面温度についてはある程度0℃から離れているため大きな影響はないと考えられますが、それでもアイスナビ8の方が条件としては有利には違いありません。ここまでアイスナビ8に有利な条件が整った状態で比較をしてはアイスガード7がかわいそうですね。
 さて、ではもうひとつ、やはり過去のデータに頼ってみましょう。左下が2017年の試験データ。右下はICE NAVI8と比較するためにとられた2021年のデータです。まずは見てください。

※参考)初頭物理では車重と制動距離には計算上関係はありません。簡単に言えば重くなれば止まるまでに必要なエネルギーが大きくなるのですが、重くなった分、強く地面に押し付けられることで摩擦力が増すのでトントンとなります。しかし現実にはトラックの過積載で制動距離が延びるように重い方が中々止まりません。ナビゲーターは物理は専門ではないので詳細は専門の方にお任せしますが、止まろうとする車の「つんのめり」まで考える慣性モーメントや、「摩擦係数の限界を超える」ことが原因であったりします。このテストの場合、摩擦が強くなるということは摩擦熱も増えるわけで、より水膜を生み出すことになるでしょうから、その影響も大きそうですね。

2017年試験データ
タイヤ銘柄アイスナビ7
ICE NAVI 7
車種ゴルフ7
排気量1,190cc
前輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ195/65R15 91Q
タイヤ空気圧F)230kPa R)230kPa
場所住友ゴム工業株式会社
名寄テストコース
 
路面状況氷盤
気温-2.7~-2.0℃
路面温度-3.2~-3.0℃
試験速度20km/h
制動距離10.78m
2021年試験データ
タイヤ銘柄アイスナビ7
ICE NAVI7
車種30プリウス
排気量1,800cc
前輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ195/65R15 91Q
タイヤ空気圧F)230kPa R)220kPa
場所株式会社交通
科学総合研究所
士別試験コース
路面状況氷盤
気温-9 ~ -6°C
路面温度-7 ~ -5°C
試験速度20km/h
制動距離14.09m
 同じタイヤがこんなに氷上制動違っていいの?!ってほど違いますよね。それは今回はつっこまず信頼するとします。だとすると今回の検証にとって良いことが見えてきます。実は30プリウスも標準的なGグレードの車重は1,350kgです。空気圧は50プリウスよりやや低いし、路面温度も低いのですが、車重が110kgも違うことに比べれば無視できるレベルだと考えられます。とすれば、このデータをもとに今回8%向上したというICE NAVI8の氷上制動距離を算出すると14.09mx0.92=12.96mとなります。
なんとか過去のデータを引っ張り出すことで近づけた条件の下での氷上制動距離を割り出すことが出来ました。
その条件でのアイスガード7の制動距離は11mですからアイスガード7の圧勝ということになります。

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4.まとめ

・2021年-2022年シーズン氷上性能最強スタッドレスはブリヂストンの「BLIZZAK(ブリザック) VRX3」に決定。
・「iceGuard7(アイスガード7) iG70」も中々の効きであるが「BLIZZAK(ブリザック) VRX2」にもちょっと及ばないのかも。
・グッドイヤーの「ICE NAVI8(アイスナビ8)」は水をあけられた結果になりました。
・番外編ながらミシュランの「X-ICE SNOW(エックスアイススノー)」がVRX2のちょい上にいそうですがデータなしなので残念。
・やっぱりブリヂストンなのか。ちょっと残念な気持ちもあるけど長年北国で信頼されているのは伊達じゃない。

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