タイヤの騒音(ノイズ)

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アジア人は欧米人に比べて車に快適性能を求める人が多いと言われています。快適さの重要な要素の1つが静粛性能です。しかし、タイヤの最も基本的な機能は安全であることで、静粛性能はそれらを満たしたことを前提として付加される贅沢な性能です。贅沢な性能ではあるものの日本ではタイヤ交換の際に「静かなタイヤ」が欲しいと言われる方が多くいます。
そこで「タイヤの騒音は何故発生するのか」を解説し静かなタイヤをご紹介します。  

ノイズの種類

タイヤから発生する騒音は主に「ロードノイズ」と「パターンノイズ」の2種類に分けられます。それらについて簡単に解説します。  

ロードノイズとは

路面の凹凸がタイヤに衝撃として伝わります。するとその振動がサスペンションなどから車体に伝わり振動して騒音となります。
これがロードノイズであり、主に低音の「ゴー」という音です。凸凹が多いなど路面状況が悪いほど音は大きくなります。  

パターンノイズ

タイヤには排水のために縦溝が切られています。この縦溝と路面で出来上がる管の中を高速の空気が通過することで笛のような役割をして騒音を発生させます。 これがパターンノイズであり、主に高音の「ヒュー」「シャー」という音です。路面状況に関わらず発生します。  

➀タイヤが接地すると管が出来る

主に排水のためのタイヤの縦溝と路面に囲まれた部分が管状になります。※実際にはタイヤは車重によりもっと潰れていますが簡単に画像を作成したためご容赦ください。
 

➁走行すると空気が流れる

車が進めば車に向かって風が吹いているのと同じ状態になります。
 

➂空気の圧力変化で発生する

タイヤの正面にぶつかった空気はどこかへ逃げようとします。その際の圧力変化で発生するのが風切り音です。タイヤのみならずボディーやフロントガラスなどあらゆる場所から発生しますが、タイヤよりミラーなど乗っている人に近い音の方が気になるでしょうからタイヤから出る風切り音は無視できるでしょう。  
むしろ問題になるのはタイヤの縦溝と路面で出来た管に押し込められた空気が逃げ道を求め、その管から高速で押し出されることよって発生する音です。これは言わば広い口の中からすぼめた唇に勢いよく空気を吹き出すことで音を出す口笛のようなもので、なにも対応しなければ非常に大きな音になります。これがパターンノイズです。
 

ノイズを抑える方法

ノイズを抑えるためにタイヤに施されている主な工夫を紹介します。

ロードノイズの低減

低減するためには振動を抑える方法と振動を伝わりにくくする方法があります。
➀振動を抑える
・ベルトの振動を抑える振動吸収シートを装備する。
・コンパウンドのシリカの配合量を増やすなどして柔軟性を高める。
・細かなサイプの切り方で柔軟性を高める。
➁発生した振動を車体に伝えないようにする
・サイドウォールやショルダーに振動和らげる構造を持たせる。

タイヤ自体を厚くすることで振動を抑えたり伝わりにくくしたりする方法は非常に効果的なので、少し前まではよく使われていましたがタイヤが重くなり燃費性能を落とすため現在は使われることが少なくなりました。  

パターンノイズの低減

➀音の低減
・複雑な溝の切り方で音同士を干渉させて低減する消音器を配置する。
・空気が溝から出ていく速度をバラバラにするなど音を分散させる。
➁不快感の低減
・音量でなく音域を制御して人間が不快感に感じる音を減らす。

溝を細くするほどパターンノイズは小さくなりますが排水性が悪くなるため安全性を犠牲にするほど細くすることはできません。
 
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まとめ

タイヤを静かにするには高い技術と労力のいることが何となく分かって頂けたでしょうか?
シリカは高価ですし、ベルトの振動を抑えるシートは一般的なタイヤには装備されていない余分にコストを発生させるものです。消音器のための複雑な溝には高い技術やコンピューターシミュレーションも必要になります。全ての音を消すことが出来ないなら、発生する音を少しでも不快感を伴わないものにしようなどと涙ぐましい努力が覗えます。それでもなおユーザーの要求に応えるべく更なる静かさを求めて開発が進められています。
つまり静かなタイヤは大なり小なり高価になりがちなのは仕方のないことなのです。  

最後にオススメの静かなタイヤ

長くなったのでREGNO(レグノ)を代表とする静かで乗り心地の良いタイヤの紹介は別ページ譲ります。 静かで乗り心地の良いタイヤ
 
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