オールシーズンタイヤのメリットとデメリット

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準降雪地域ではスタッドレスタイヤを持たずオールシーズンタイヤで通年を過ごす人が僅かながら増えているようです。しかし、まだまだ種類も少なく普及が進んでいないため買う側も売る側も分からないことが多く、二の足を踏んでしまって購入まで至らないケースも少なくありません。
そこでオールシーズンタイヤのメリットとデメリットを明らかにしますので、「あなたの求めるものなのか」、「必要としているものと齟齬がないのか」を確かめてみてください。

メリット

一言で言えば1セットを履きっぱなしで、1年中済んでしまうってことです。しかし、それではあまりにも乱暴なので、もう少しあなたが具体的にイメージできるようメリットを挙げていきましょう。

概ね全天候対応

先ずは以下の表を見て頂きましょう。

凍結路以外はそれなりに走れます。凍結は一応△になっていますが走行はオススメしません。

費用半分

夏用タイヤとスタッドレスタイヤ合わせて2セット用意する必要がありません。スタッドレスタイヤはほとんどの方がランニングコストなどの面から「ホイールとセットで準備をすること」、「そもそも夏用タイヤより割高なこと」を考えると、夏用冬用タイヤを用意するのは夏用だけで過ごす倍以上の費用がかかると言えます。オールシーズンタイヤなら今あるタイヤを交換するだけですので費用負担は約半分で済みます。

履き替え不要

その名の通りオールシーズン(通年)タイヤですから、夏タイヤとスタッドレスタイヤを使用している方には必須となる年2回の履き替えの必要がありません。お店に頼んだ場合にかかる1回2,000円~5,000円ほどの履き替え費用が必要ありません。冬時期は混み合うお店に出向き長時間待たされることもありません。
ご自身で履き替えをする方は道具を揃える費用や履き替え作業の手間が不要になります。

保管場所不要

夏用タイヤかスタッドレスタイヤのどちらかを使っている際は必ずどちらかが不要なので保管場所が必要です。タイヤは車についていれば全く気になりませんが、外してみると案外大きいものです。場所に余裕がある方は問題ありませんが特に都心部などでは邪魔なタイヤに大きなスペースをとられてしまうのも困りますし、そもそもそんなスペース自体確保できないという方もいるはずです。オールシーズンタイヤなら常に車についているわけですから保管用のスペースなど不要です。

運搬不要

ショップで交換してもらう場合、保管してあるタイヤを積み込んでショップへ向かい、外して積み込んでもらったタイヤを自分で下して保管場所へ移動させなければなりません。コンパクトカー程度なら力の弱い女性でも何とかなるでしょうが、大型車では若い男性でも大変です。その積み降ろし作業が不要です。

タイヤ保管サービス

最近では店舗での保管サービスを行ってくれるショップも増えてきました。こういったショップを利用すれば保管場所も運搬も心配ありません。大変便利なサービスですが当然余分に費用がかかります。またどうしてもその店舗で交換せねばならず急な降雪で大混雑していても待つしかありません。これらの費用や手間が不要です。

デメリット

オールシーズンタイヤは準降雪地域には便利ですが万能ではありません。その問題点や弱点を見ていきましょう。

性能はそれなり

良くも悪くも中途半端です。ドライやウェットに的を絞って作られた夏用タイヤや積雪路や凍結に的を絞って作られたスタッドレスタイヤ、それぞれの弱点と比べれば優っていますが、それぞれの得意分野と張り合ってもかなわないのは致し方ないところでしょう。

➀冬用としての性能

雪上性能は限定的で凍結状態にはほとんど無力です。雪上で乗ってみた感覚では滑りながら走れるといった感じでした。コントロールを失うような滑り方ではなかったのである程度雪道に慣れているナビゲーターは全く問題ないなと感じましたが雪慣れしてない同僚は「ちょっと怖いなぁ」と漏らしていました。夏タイヤと比べれば圧倒的に安心ですがスタッドレスタイヤのような安心感には及びません。

➁夏用としての性能

ドライなアスファルト上でのグリップ性能は夏タイヤの中級品と同程度ですが、細かいサイプが多く配置されていることで水を含みやすく濡れた路面ではやや滑ります。夏タイヤと比べてブロックの倒れこみが大きくなる傾向にあるのでハンドリングレスポンスは幾分遅れがちになります。いわゆる低燃費タイヤと比較して燃費は落ちる傾向にあります。

➂総合的な性能

走行音は一般的な夏用タイヤより大きい傾向にあり、スタッドレスタイヤに似たジャーという音がすることが多いようです。
一般に夏用コンパウンドより高温には弱いので夏のアスファルトでは減りが早い傾向にありますが、スタッドレスタイヤと比較すれば圧倒的に強い耐摩耗性能を持っています。

冬用として使える期間はシビア

冬用として十分な性能を発揮できるのは使用開始から満3年程度です。それを超えるとゴムが十分な柔軟性を失い、十分な雪上性能も失います。
残り溝の性能限界は初期溝の半分程度である3mmほどで、それを下回ると雪を押し固めて後ろへ掻き出すことで得る駆動力が得られなくなり、雪の上で空転してしまいます。
いずれにしろ夏用タイヤより早いスパンでの交換になることがほとんどなので、しっかりと性能を維持したいなら定期的な交換をしなければなりません。但し、これはスタッドレスタイヤにも言えることです。

選択肢が少ない

現在発売されているオールシーズンタイヤは種類も少なく様々な味付けがされているものもありません。例えば静かで乗り心地の良いオールシーズンタイヤが欲しくても、高いスポーツ性能を持ったオールシーズンタイヤが欲しくても、そこに特化されたモデルは発売されていません。

高速道路の規制について

困ったことに全国共通の基準ではなく各地域の道路公団の指示に従う必要があります。一部のオールシーズンタイヤはスタッドレスタイヤと同様の取り扱いをされています。

冬用タイヤ規制

スタッドレスタイヤだけでなくオールシーズンタイヤでの走行が可能です。但し、全てのオールシーズンタイヤが許可されているわけではないようです。

全車チェーン規制

いかなるタイヤであってもチェーンの装着が義務付けられます。スタッドレスタイヤを履いていても例外ではありません。(実際にはスタッドレスタイヤで止められないこともあります。)
通行止めの道路をチェーンを履いている場合に限り通行可能にする特別な措置というのが正しいようです。


まとめ

降雪地域では必須となるスタッドレスタイヤですが準降雪地域では必要かどうか迷う方もいるはずです。経済的に余裕があればスタッドレスタイヤを用意するのが間違いありませんが、使うかどうかわからないものに多額の費用をかけたくない人もいるでしょう。そんなときの一つの選択肢としてオールシーズンタイヤが存在します。

勿論、夏は夏タイヤ、冬はスタッドレスに越したことはないですが費用面やスペース、運搬の手間などでオールシーズンタイヤを選ぶのもありかも知れません。但し、冬道の性能を期待するなら夏用タイヤよりシビアに交換や管理をしてあげる必要があります。

冬用タイヤ規制なら走行が許可されているオールシーズンタイヤもあります。

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