ヨコハマから乗用車用オールシーズンタイヤいよいよリリースへ

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グッドイヤーが火付け役となった国内のオールシーズンタイヤ市場ですが、少しずつ国内メーカーのオールシーズンタイヤもリリースされてきました。そしてついにヨコハマタイヤも国内向けにオールシーズンタイヤ「BluEarth-4S AW21(ブルーアース フォーエス エーダブリューニーイチ)」をリリースします。

発売までの経緯

本タイヤは2018年に欧州で発売され高い評価を得ており、実は昨年東京でもテスト販売がなされています。しかし、販売が非常に限定的かつ、ユーザーによる雪上走行がほとんどなされなかったため口コミなどはほとんど見かけない状況ではあります。しかしながら、メーカーによるユーザーアンケートや売れ行き、市場からのニーズなどを鑑みて今回リリースになったようです。

発売予定日

2020年1月9日

技術的な特徴

①V字ダイバージェントグルーブ

全方向へグリップするカーブを描いた特徴的な方向性パターンで排水性能は勿論、高い排雪性能を発揮します。

②クロスグルーブ

V字溝に交差するように配置された太めの溝です。ブロックに押しのけられた雪を取り込みむことで、ブロックが柔らかい雪面を貫き硬い層へ効率よく到達する雪柱せん断性能を発揮します。また排雪をより効率的に行う助けになります。

③ 大型ショルダーブロック

ショルダー部に大型のブロックを配置しています。サマータイヤに比べて柔らかいコンパウンドを採用しているため腰砕けになりがちなオールシーズンタイヤのふらつきを抑えて走行安定性を高めています。

④ オールシーズン3Dサイプ

サイプの切れ込みを立体的にすることで、ブロック同士で支えあい倒れこみを抑えることで剛性をアップし走行安定性を確保しています。

雪上性能

欧州で冬用タイヤとして認証された「スリーピークマウンテン・スノーフレークマーク(3PMSF)いわゆるスノーフレークマーク」を取得していることで冬道性能担保がされています。
勿論、ユーザーとして最も気になる高速道路の冬用タイヤ規制でも走行が許可されています。
※ただし、すべての検査員に浸透しているわけではないのでグッドイヤーなどはタイヤカタログを車載しておくことを推奨しています。

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販売価格は

ナビゲーターのお店の担当営業からはかなり強気の販売価格を聞いています。具体的には一般的な販売価格が最も高価なサマータイヤ「ブリヂストン REGNO GR-XII」とどっこいの価格帯です。オールシーズンタイヤではこれまで最も高価だった「グッドイヤー Vector 4 Seasons Hybrid」より高くなる可能性があります。
更にかなり強めに価格をコントロールしていこうとしているようなので、そうなるとちょっと手を出しにくいタイヤになるのかもしれません。

製造国

どうやら全サイズフィリピン製になる予定のようです。

まとめ

・ヨコハマから普通乗用車用オールシーズンタイヤ発売決定
・名前はBluEarth-4S AW21(ブルーアース フォーエス エーダブリューニーイチ)
・発売予定日2020年2月
・欧州では先行販売されており高い評価を受けている
・2019年東京でテスト販売された実績がある
・スノーフレークマークを取得おり冬用タイヤ規制クリア
・雪道は問題ないが氷上は△の評価
・かなり高めの価格設定になりまそうです。
・製造国はフィリピンになる予定

サイズラインナップ

国内のラベリング制度ではM+S表記のあるタイヤはラベリングされないため、参考までにEUラベルを記載しておきます。
転がり抵抗係数:EUの’C’は日本の’A’、EUの’E’は日本の’C’
ウェットグリップ性能:EUの’B’は日本の’b’、EUの’C’は日本の’c’

EUタイヤラベル korogariTeiko26:転がり抵抗係数 wetGrip26:ウェットグリップ性能
対象のタイヤサイズをクリックするとネット購入できます。
※日本と欧州のラベリング制度の対比
発売は2019年9月予定
インチタイヤサイズkorogariTeiko26wetGrip26備考korogariTeiko26wetGrip26wetGrip26
19235/55R19 105W--1RAY
225/55R19 99V--RAY
18245/40R18 97Y--1RAY
225/45R18 95Y--1RAY
235/50R18 101V--1RAY
235/55R18 100V--RAY
225/55R18 98V--RAY
235/60R18 107W--1RAY
225/60R18 104V--1RAY
17225/45R17 94V--1RAY
225/50R17 98V--1RAY
215/50R17 95W--1RAY
225/55R17 101W--1RAY
215/55R17 98W--1RAY
225/60R17 103V--1RAY
215/60R17 100V--1RAY
225/65R17 106V--1RAY
16205/55R16 91V--RAY
215/60R16 99H--1RAY
205/60R16 96H--1RAY
215/65R16 98H--RAY
215/70R16 100H--RAY
15185/55R15 86H--1RAY
185/60R15 88H--1RAY
195/65R15 91H--RAY
185/65R15 88H--RAY
175/65R15 84H--RAY
14175/65R14 82T--RAY
155/65R14 75H--RAY
備考1.エクストラローダタイヤです。
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暖冬の影響でタイヤ市場に起こっている問題とユーザーへの影響

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1.記録的な暖冬

日本の平均気温が1898年の統計開始以降、最も高くなる見込みだそうです。これにより降るべきところでもさっぱり雪が降っていないようで、クリスマスの札幌ですら道路には雪がついておらずアスファルトが見えている状態とのことです。ナビゲーターもお正月のあいさつで群馬に行きましたが、いつもなら雪があるところにも全く雪がなく、子供たちが楽しみにしていたスノーボードもままならないような状況でした。

2.メーカーの販売状況

ご想像の通り売り上げはかなり厳しいメーカーが多く、メーカーレベルでも昨年の7~8割程度という数字が出ています。ナビゲーターも「某メーカーではある地方だけで数万本単位でスタッドレスタイヤが残ってしまっている」との情報をつかんでいます。主要メーカーの倉庫、お店に納品済みのタイヤを合わせて考えると少なく見積もっても数十万本のスタッドレスタイヤがダブついていることになりそうです。
そもそも昨年もタイヤ業界の冬季の売り上げはあまり良い数字ではありませんでした。昨年のよくない数字をベースにして7~8割程度ですから大恐慌レベルです。

3.店舗の販売状況

量販店

正確な数字は分かりませんが多くの量販店でかなり余らせているようです。昨年の積み残しが相当数あったところからスタートしています。それらの販売のためシーズン前から叩き売りをしていたところへ、暖冬で大失速したのですから厳しくないわけがありません。

中小のタイヤショップ

更に厳しい状況なのは中小のタイヤ専業店です。売れないスタッドレスタイヤを抱えたまま運転資金が回らなくなり春まで持たないお店もあるかもしれません。


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4.来季モデルチェンジ予定のメーカー

こちらはメーカーからの情報が入り次第逐次更新していきますが2020年1月10日時点の状況を記載しておきます。

ダンロップ

シーズン前から来期のモデルチェンジがアナウンスされていましたため、まず間違いなく来季はモデルチェンジするでしょう。来期はWINTER MAXX WM01はカタログからは消える「はず」です。

トーヨー

一応モデルチェンジが予定されているようで来季はトーヨー GARIT G5が廃盤になるようです。しかしながら、生産能力の関係からか例年シーズン前に売り切っているメーカーにもかかわらず、現状万本単位の積み残しがあるようですから予定通りにいくのでしょうか。

ヨコハマ

お得意のパターンそのままでコンパウンドを変えるマイナーチェンジが来季あたりとの話もありますが、今期の状況を鑑みて舵取りを考える可能性があります。

5.ユーザーへの影響

前述の3,4を踏まえてユーザーにはどのような影響があるでしょうか。そうです。皆さんの大好きな方の影響です。

余り物が安く買える

勿論あるものだけですし、2019年以前の生産のタイヤになりますがこれから安く買えるのは間違いないでしょう。売り残し故通常は選択肢が少ないわけですが、例年より狙ったものが買える可能性が大幅に高くなるでしょう。
今シーズンの終わりから来シーズンまで積み残しを売り切るまで叩き売りされることでしょう。量販店では既に安売りが始まっているようでスタンダードな販売価格より1~2割ほど安い値段が聞こえてきています。まだ欲しい方や来年の買い替えを考えている方は多少強気の値切りができるかもしれません。
注)来季に買う方は紫外線の当たる外に大量に展示され続けているお店での購入は注意しましょう。正しく保管されているタイヤは1年や2年で劣化しませんが紫外線の影響を強く受ける場所で保管すれば性能低下は避けられません。

カタログ落ちしたモデルが安く買える

ダンロップ WINTER MAXX WM01トーヨー GARIT G5が実際カタログから消えたとしても相当量売れ残るでしょうから、来季メーカーは値下げしてでもショップに売り込むでしょう。仕入れる余裕のあるお店では安く売られる可能性がありますし、そもそも売れ残しているお店では安売りせざるを得ないでしょう。

まとめ

・今期は記録的な暖冬である
・メーカー、お店とも相当量のスタッドレスタイヤを売り残している
・売れ残したスタッドレスタイヤは今期から来期にかけて叩き売りされる
・来季カタログから消えるモデルについては更に安く売られる可能性が高い
・ただし、タイヤの保管状況については注意が必要
・ネット通販でも相当量のダブつきあり格安販売される可能性が高い
・実はスタッドレス用に生産された廉価ホイールも危機的な余り状況にある
・蛇足ですが、おそらく一部はロシアなど海外へ持ち出される

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