買収から1年半、中国による買収はピレリに何をもたらしたか

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経緯

2015年3月23日、中国の国有化学大手、中国化工集団が欧州大手タイヤメーカーピレリを71億ユーロ(約9200億円)で買収することを発表しました。この時点で発行済み株式の26.2%を保有することになります。
因みにピレリは世界シェア5位のメーカーで、2014年12月期の売上高は60億1800万ユーロ(約7800億円)でした。

 

ピレリ側の反応

多くの日本人は中国資本による買収に対しマイナスイメージを持つかもしれません。しかし過去に日本がかつてそうであったように中国は金余り状態で、そのダブついた資金をもって海外への投資を強めています。また今回の買収は敵対的なものではなくパートナーとしての資金流入といえることもありピレリ側も概ね歓迎ムードです。
その証拠にピレリの会長兼CEOは、「ケムチャイナのような世界的企業とのパートナーシップは、ピレリにとって素晴らしい機会」としていて、経営体制は変わらず継続されています。

 

現在の状況

dragon01買収から約1年半が経った現在の状況を見ると、中国の潤沢な資金が流入したことはピレリにとってプラスに働いているといえます。例えばよりライトなスポーツユーザーを取り込むべく設計された「ドラゴンスポーツ」のリリースはこの資金のおかげともいえます。現状のケムチャイナは「金は出すが口は出さない」というスタンスのようで、経営も開発もピレリに任せ、強い許認可権を持たず開発に必要な資金はしっかり出しています中国の工場での生産体制も拡充しておりピレリは今後さらにアジア圏で力を増すでしょう。

 

実は同様のケースが他にもあります。それが中国の浙江吉利控股集団によるボルボの買収です。中国資本になった後に投入されたV40は非常に人気があり、XC60は2016年上半期のグローバルでのベストセラーモデルで、73,817台を販売しました。新たに投入されたXC90も高級感のある革新的なデザインで話題となっています。2015年の世界累計販売台数は50万台超で、これはボルボ史上初の数字です。
これは潤沢な資金が入ったことで今までより多くのデザイン案や開発案を提出でき、より良いものを選択できた結果と考えられます。

 

日本からは一見チャイナマネーに「買われてしまった」と見えるかもしれませんが、実は大量の資金が入ってくることで、より良い製品のリリースができたわけです。つまり必ずしも悪いことではないどころか、現在のところ非常に良い面が出ているといえるわけです。

 

今後の展開

ピレリはよりアジア市場に大きく参入してくることになるでしょう。チントゥラートP7などのアジア圏でより好まれるコンフォート系タイヤは中国で生産されるサイズも増えてきています

 

中国製ピレリの注意点

全く同じであるはずのタイヤであっても中国製は少し違います。日々タイヤに触れているナビゲーターはある日違和感を覚えました。中国製のチントゥラートは「何か今までのタイヤと違う」と感じたのです。何が違うのかといえば「重い」のと「硬い」のです。ピレリの担当営業にぶつけてみました。

 

ピ:ピレリ担当営業 ナ:ナビゲーター

ナ:
中国製は他国製と違うように感じますが?
ピ:
おっしゃる通り、実は他国製と違いがあります。
ナ:
重く硬いように感じますが?
ピ:
実際重いですし、おそらく硬いと思います。
ナ:
やっぱり!同じタイヤなのになぜでしょう?
ピ:
それは中国国内の事情にあります。中国はまだ道路事情がよくありません。そこで外からのダメージに強くするため側面の強度などに法的な高い基準があるんです。
ナ:
なるほど。そうであればそれほどネガティブな話ではないですね。
ピ:
そうですね。ただ燃費がやや低下することと乗り心地が硬く感じられることはあるかもしれません。
ナ:
スポーツ走行でなければ問題にはなりませんが、ハンドリングもやや落ちるということになりますね。
ピ:
重さが関わりますから多少は否めません。
ナ:
メイドインチャイナはどれくらい入ってきていますか?
ピ:
現在のところピレリジャパン経由で日本に入ってくるものは多くはありません。
ナ:
そうすると並行品などでは中国製があるかもしれませんね。よくわかりました。有難うございました。

 

ピレリジャパンから仕入れをしているお店では中国製は多くないようですが、自社で並行輸入していたり大手の卸から購入している販売店ではある程度の割合で中国製という可能性があります。性能的にも大きな問題はなさそうですからナビゲーターは気にする必要はないと考えますが、気になる方は避けたほうが無難ですね。安全に関わることですし、やっぱり何となくイメージが悪いと考える方がいるのは理解できます。ナビゲーターも食品なんかは避けてしまいますしね。

 

まとめ

➀中国資本の投入で新たな製品のリリースなどピレリにとってはプラスの影響が出ていると考えられる。
➁今後、チントゥラート系などでは中国製のピレリが増加する可能性がある。
➂並行輸入品では中国製も増加傾向にある。
➃但し、P ZEROなどのフラッグシップタイヤは現状では中国生産はないし、その予定もないようです。

 

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「タイヤ=1人/4人」これなんでしょう?

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ある調査によれば2016年現在の4輪自動車用タイヤの約25%はウェブなどを使って「通信販売で購入」されているそうです。通信販売では買いにくいと言われていたタイヤですが、どうしてこのような変化が起きているのでしょうか?

 

価格の開きの大きさ

例えば、今季発売されたミシュランタイヤの新商品パイロットスポーツ4ですが、大手量販店で販売価格を見ると1本30,000円を近い金額でした。ナビゲーターの自宅近くの安いと評判のタイヤ専門店でも25,000円ほどで4本買えば約10万円です。
それに比べてウェブ上のネット販売店では1本16,200円で売られていました。1本で1万円ほどの差があり4本では4~5万円もの開きがあります。
これほど大きな差があると知ってしまっては店舗で購入との天秤にかけて通販で購入する方が増えるのも頷けます。しかも、この例は新商品なので製造が古いタイヤなんてこともありえないのです。

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環境の変化

少し前は買った後に問題があった

家電製品などと違いタイヤは買ってそのまま使えるというものではありません。ホイールに組み込んで初めて役に立つわけです。自分で組み替えることも不可能ではありませんがハードルが高く、工具も必要になるので結局どこかに頼むのが順当です。
ここで問題となるのは、「組み換えが出来るところはタイヤを販売している」ということで、組み換えが出来るお店でも以下の理由から持ち込みタイヤを断っているところが多かったということです。

 

➀持ち込みタイヤを組み替えるのは儲からないので面白くない。
➁大抵はメーカーとの間で販売本数のノルマを持っているので自社で売りたい。
➂持ち込まれたタイヤに問題があっても組みつけたお店に苦情がくる。

 

儲からない上にクレームなどのトラブルの種となれば嫌われるのも当然と言えます。

 

今は作業を請け負ってくれるお店が増えた

➀ネット通販店と提携をして組み付け作業を請け負うお店が増えました。
➁整備工場などでも持ち込みハメ換えを請け負うところが増えてきました。
➂フランチャイズの車検屋さんで「持ち込みハメ換え歓迎」という看板も見掛けます。

 

これらは販売側の企業努力での提携店獲得に加えて、不景気によって作業者を遊ばせておくくらいなら工賃仕事を請け負ってでも儲けようという、お店側の姿勢の変化があります。また、アイサイトに代表される車の安全性の向上で事故が減り、板金などの仕事が大幅に減少していることも要因となっているかも知れません。

 

スマホの登場

スマホ操作まさにいつでもどこでも指1本でタイヤを買えるようになりました。タイヤを選ぶ際の性能評価や口コミもどこでも読んで吟味できます。最終的にはご自身で判断しなければならないというハードルはありますが、それさえ気にならなければとても安く購入できます。

 

サービスの向上

自宅でなく提携の取り付け店舗へタイヤを送ってくれるサービスがある通販店まであり、重いタイヤを積み込む手間や苦労がなくなったため、女性でも心配は要りません。
そもそも、販売側も商売ですから分からないことがあれば聞いてみれば親切に応対してくれるお店がほとんどです。







 

まとめ

あまり構えず気楽に利用してみることをお勧めします。利用してみれば拍子抜けするほど簡単で「得」ができてしまいます。特にこれから購入が増えるスタッドレスタイヤはホイールセットで購入される場合、自分でも簡単に取り付けできますし、ガソリンスタンドなどでも取り付けてくれるのでハードルはとても低いといえます。

とはいえ、「よく分からないし人任せにしたい」、「面倒だ」と思う方には向きませんし、そういった方は一定の割合で存在し続けます。経済的に余裕があって、面倒なことに時間を費やしたくないという方もいるでしょう。これら様々な理由から、現状ではタイヤ通販利用者はこの約25%という割合に落ち着くといわれています。

 

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