タイヤの圧力監視装置:TPMS
TPMSという名前を聞いたことがないでしょうか?TPMSとはTire Pressure Monitoring System(タイヤ圧力監視システム)の略で、タイヤの空気圧(内圧)を監視する装置です。ここでとりあげるTPMSは直接TPMSと呼ばれるタイプで空気の注入口であるバルブを圧力センサー内蔵のバルブに変更するなどして実装し、空気圧を常時監視することができるタイプです。
普及しつつある背景
BMWなどで純正装着されているランフラットタイヤはパンクしても外観による変化が分かりにくいので、ドライバーがパンクに気付くのは困難です。そのため空気圧が低くなったタイヤと正常なタイヤの間で生まれる回転数の差を検知するセンサー(間接TPMS)が装備され、メルセデスベンツなどにも普及しています。
日本でも一時期クラウンなどに、この種のセンサーが標準装備されていました。
しかし、間接TPMSは車両側についているABS用センサーを利用するものの、ソフトウェアの変更が必要になるため標準装備がない車両では後付けは難しいようです。それに対して、直接TPMSはバルブの交換などで装備できるので、ホイール形状に幾らかの制限はあるものもありますが、大抵の車両に装備可能です。また装備した車のドライバーが空気圧を表示するモニターを見るだけで、早期に異常に気付くことが出来るので簡単で明瞭です。
因みに北米ではTPMSの装備が義務化されおり、日本でも将来的には義務化が検討されています。最近はレクサスなどの高級車や日産自動車の一部車種に純正装着されるなど普及が進んでいます。
メリット
異常に早期に気付ける
空気圧の異常に「早期に」気づけるかはほとんど運と言っても過言ではありません。発見には主に「タイヤの異常なたわみに目視で気付く」、「空気圧をチェックして異常に気付く」、「ハンドルの重さなど走行性の悪化に気付く」の3種類があり、これらのどれかを「早期に」気付かなければならないのです。では、なぜ「早期に」気付く必要があるのでしょうか。
パンクした経験のある方ならご存知の方もいるかも知れませんが、タイヤは低圧状態で走行するとホイールと路面で押しつぶされ構造が破壊されます。こうなってしまっては極小さな穴で通常なら修理で済むはずのタイヤも交換しなければなりません。早期に発見しなければ、こういった事態を防ぐことができないのです。
リスクが減らせる
朝、駐車場に行ったらタイヤがぺちゃんこで「会社に遅刻」してしまったり、「急用なのにすぐに動けない」なんて事態にも、前に車に乗った際に気付いておける可能性が格段に上がります。
また走行中にゆっくりと空気が抜けている場合などでも致命的な事態になる前に、路肩に寄せたりパーキングエリアに立ち寄ったりといった対処が可能です。特に高速道路を走行している場合などではパンクによる危険度は高く早期に気付ければ安全に対処できます。
空気圧管理がしやすい
当然、普段からも空気圧が見えているので管理も楽で、空気圧が減ったのを見て補充をすることが可能です。特に扁平タイヤでは空気圧が減少していても見た目に分かりにくいのでモニターがあるのは助かります。空気圧を保つことは燃費や走行安定性、偏摩耗抑制などの観点から見ても非常に重要です。しばらく点検をしていなくて非常に低い空気圧で走行していたなんてことも避けられるわけです。
デメリット
価格が高い
まだまだ価格が高く4つセットで1万円代後半くらいから販売されていることが多く、少々手が出しにくいかも知れません。
そういった意味では、あれば便利だとは思いますがコンパクトカーの標準装着サイズのタイヤなどであれば装備の必要性は低いと考えられます。しかし、扁平の大口径タイヤなど高価なタイヤを装着している場合、タイヤをダメにしてしまっては損失も大きいので保険の意味で装備をお勧めしたいところです。扁平タイヤの場合、空気圧の管理もよりシビアになることが多いので、そういった意味でも装備をお勧めします。また扁平タイヤはもともと薄いので空気が抜けてたわんでいるのにも気づきにくく、発見が遅れてタイヤをダメにしてしまいがちなことも付け加えておきます。
自分で装備するのは困難
バルブを交換するには、専用の機械などでビードを落とす必要があるなど自分でやるのは難しくタイヤショップなどにお願いすることになるので気軽にポンとつけるというわけにはいきませんし、幾らかの工賃も必要になります。
新品のタイヤに交換する際に一緒に装備してもらうと工賃も節約できて良いでしょう。
数年で交換が必要
バルブ側にバッテリーが内蔵されていて、電波を飛ばしてモニタリングしているため、数年で交換が必要です。バッテリーのみの交換を行えれば安価に済みそうですが私の知る限りバッテリーまでユニット化されていてバルブごと交換しなければならないものが一般的なようです。手間や工賃を考えるとTPMSバルブの交換もタイヤ交換と同じタイミングで行うのがよさそうです。
庶民のブツブツ
高価なのだから、振動で発電する素子を使って充電するとか、タイヤの回転を利用して充電するなどで半永久的に使えるようにすべきだと思うんですけど…
あ、これで特許か実用新案でも取れないかな(笑)。
なんて私くらいが思いつく程度のものは既に偉い人が思いついているでしょう。おそらくは更に価格が上がってしまう等の問題で今の形なのでしょうね。今より更に普及してくれば価格も下がって、機能性の高いものが発売すると考えられます。
まとめ
・直接TPMSはタイヤの空気圧を常時モニターできるので便利
・まだまだ高価なので、むやみにつける必要はない
・扁平タイヤなど高価なタイヤを使用している場合は装備する価値が大きい
・安全のためと考えられる方には価値があるアイテム
・高速道路の利用が多い方には安全面でのメリットが大きい
実は素晴らしいものがある
デメリットを挙げておいてなんですが、実はそれをひっくり返す画期的な製品があります。
北米では完全義務化されていることは先に述べましたが、完全義務化となると色々考える人がいるものです。何とか安く手間なくつけられるものをと考えられたのがバルブキャップ型TPMSです。バルブについているキャップをTPMSつきにすればいいだけなんです。しかも比較的安価。スマホをモニターにするタイプなんかも売られています。
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