ヨコハマ「GEOLANDAR M/T G003」発売

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待ちに待ったヨコハマのマッドテレーンタイヤ「GEOLANDAR M/T G003(ジオランダー・エムティー・ジーゼロゼロサン)」が発売されます。13年ぶりのモデルチェンジとあってナビゲーターもワクワクです。

 

技術的な特徴

➀ラージメッシュ・ラググルーブ

縦、横、斜め様々な方向へ全体に配された溝がマッド、ロックでのトラクション性能を発揮し排土性も高めています。

 

➁接地幅の拡大

新パターンと新コンパウンドにより、接地幅を広くすることでトラクション性能を高め、偏摩耗を抑制しています。

 

➂シーケンシャル・サイプ

踏み固められた硬い土やウェットで優れたエッジ効果を発揮しトラクション性を向上させます。固められた雪面にも多少のエッジ効果は発揮してくれます。

 

➃マッド&ストーン・エジェクター

ロックセクションなどで岩の角が最も弱い溝の底部へヒットしてダメージを受けるのを抑制します。マッドでの排土性も高めます。

 

➄アグレッシブサイドブロック

タイヤサイド上部に設けたブロックにより耐カット性を向上。また深いマッドでのトラクションにも貢献します。

 

➅高剛性3プライ構造

ロードレンジEサイズおよび一部のロードレンジDサイズには3プライ構造を採用し、ケース剛性を高め優れた操縦安定性、耐カット性を実現しています。

➆ナイロンフルカバー

ベルト上部にナイロンのフルカバー構造を採用することで弱点である溝の底部へのダメージがベルトに達するのを抑制します。

 

➇大型リムプロテクター、G003専用サイド構造

タイヤサイドのゴムを従来より厚くし、リムプロテクターを大型化することでサイドを強靭にしています。

 

8月発売予定サイズ

インチタイヤサイズ備考
2037x12.50R20 126Q
17LT285/70R17 121/118Q
LT265/70R17 121/118Q
37x12.50R17 124Q
35x12.50R17 121Q
16LT315/75R16 127/124Q
LT285/75R16 126/123Q
LT265/75R16 123/120Q
1531x10.50R15 109Q

9月以降順次サイズ追加予定







まとめ

➀マッド、ロックどちらにも対応できる設計がされています。
➁全体に耐カット性能や偏摩耗性能が改良されています。
➂オンロードでの快適性能や乗りやすさも幾らか改善されています。
➃基本的に部材を厚くすることで強靭さを得たため重い。非力なマシンでは慣れないうちはストレスを感じそうです。
➄サイドウォールのインパクトも抜群なのでファッションで履いてもカッコいいでしょう。
➅現状国内で発売予定サイズではホワイトレタータイヤはありません。

 

G003はマッドテレーンには珍しく幅広設計がされていますが、一般にクロカンには細身大口径が有利と言われています。細身のタイヤでは狭い面積に圧力が集中されるため、表面のぬかるみの強い泥をせん断します。するとその下にある締まった路面へタイヤを到達させることが出来、高いトラクションを得られるので細身タイヤが有利と言われているのです。
一方でロックセクションでは接地面積が大きい方が出来るだけ多くのブロックを接地させられるので、トラクションとグリップが良くなります。
ナビゲーターの私見ですが、G003ではこの相反する特徴を両立させるための設計がされていると考えられます。まず接地面を幅広にしながらも溝の比率を増やすことで圧力を集中させ、せん断力を強めてマッドに強くしています。一方で、幅広にすることで空気圧を落とせばロックでもより多くのブロックが接地して面圧が分散しやすくトラクション性能を高めるように設計されていると考えられるのです。

 

相対比較ゲージなどはGEOLANDAR M/T G003参照

 

ナビゲーターは車を壊すのが怖くて出来ませんが、こんなことやってみたいですね。主にファッションなんちゃってカスタムを楽しんでいるナビゲーターですが、車を借りて稀にトライさせてもらってます。
写真はMOTER TRENDよりお借りしました。

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2017年-2018年シーズン新発売スタッドレスタイヤ【1】

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今シーズンの新発売のスタッドレスタイヤのプレス発表が相次いでありました。

 

ブリヂストン

今シーズン発売予定「BLIZZAK VRX2(ブリザック ヴィアールエックスツー)」

➀氷上制動距離10%短縮
➁静粛性アップ騒音1.6dBA低減
➂摩耗ライフ22%向上

 

今シーズンスタンダードモデル化「BLIZZAK VRX(ブリザック ヴィアールエックス)」

これまでは最新モデルの発売にあたって前モデルは廉価モデルとなり、かなり買いやすくなっていました。しかし、今回はあまり価格を下げない方針が決まっているそうなので、前モデルである「VRX」であってもあまり買いやすい価格帯にはならないかも知れません。しかも「VRX」は摩耗が早めなのでアスファルト上を走ることが多い準降雪地でたくさん走る方には割高になることがあります。

 

ヨコハマ

 

今シーズン発売予定「iceGUARD 6 iG60(アイスガードシックス アイジーロクジュウ)」

➀氷上制動距離15%短縮
➁静粛性ロードノイズ25%、パターンノイズ33%低減
➂ウェット制動性能5%向上

 

今シーズンスタンダードモデル化「iceGUARD 5 Plus(アイスガード ファイブ プラス)」

昨シーズン、一昨シーズンとナビゲーターの独断で最も効きの良いスタッドレスに輝いた「iceGUARD 5 Plus」が廉価となって販売されるのでお勧めです。

2015年一番止まるスタッドレスタイヤを(勝手に)決めたった
2016-2017年一番止まるスタッドレスタイヤを(勝手に)決めたった 普通乗用車編

 

グッドイヤー

 

今シーズン発売予定「ICE NAVI 7(アイスナビ セブン)」

➀氷上制動距離7%短縮
➁ウェット制動性能2%向上
➂低燃費性能4%向上

 

今シーズンスタンダードモデル化「ICE NAVI 6(アイスナビ シックス)」

ナビゲーターの評価では氷上性能の評価があまり高くないスタッドレスタイヤではありますが、摩耗には強いので準降雪地でたくさん走る方には良いかも知れません。

 

その他のキャッチしているスタッドレス発売情報

トーヨータイヤも新スタッドレスを発売する予定があると聞いています。
ミシュランタイヤについては既にミシュランの新スタッドレス情報で報告し、ミシュラン新スタッドレスのなるほど新構造で追加情報を記載しています。

 

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ミシュラン新スタッドレスのなるほど新構造

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2017年-2018年シーズンに新発売されるミシュランの新スタッドレスタイヤ「X-ICE XI3 PLUS(エックスアイス エックスアイスリー プラス)」について、「なるほどその手があったか!」という実にミシュランらしい新コンパウンドの情報をキャッチしました。

 

新たな添加素材を加えた新コンパウンド

今回のモデルチェンジはパターン変更のないマイナーチェンジ的な変更であることは以前にお伝えしました。参考)ミシュランの新スタッドレス情報
その際「吸水性能と柔軟さの持続性を高める新素材」がコンパウンドに添加されるとお伝えしましたが、一部正確ではない情報だったようなので詳細を後述していきます。

 

なぜ氷で滑るのか

スタッドレスタイヤの効きの構造を理解するために、氷上で滑る機構をごく簡単に説明しておきます。
氷は表面が滑らかなため滑ってしまいます。しかし、むしろ問題なのが氷にタイヤが接触すると、表面が僅かに解けてミクロの水膜が出来、これがタイヤと路面の摩擦を極小化するために滑ると言われています。タイヤと路面の間に薄い水膜が出来てしまう言わばミクロのハイドロプレーニング現象です。そのため近年のスタッドレスタイヤの開発は各メーカーとも水膜除去に大きな力を注いでいます

 

従来の代表的な添加素材

➀ダンロップのテトラピックなどのグラスピック素材は引っ掻き効果を狙ったものでしたが、現在は採用されていません。
➁トーヨーの微粉砕クルミ殻は引っ掻き効果を狙ったもので現在も採用されています。
➂ヨコハマの吸水カーボンは吸水効果、吸水バルーンと吸水ハニカムシリカは吸水効果と引っ掻き効果を狙ったものでした。最新モデルでは主に吸水効果を狙った吸水バルーンとエボ吸水ホワイトゲルのみの採用です。
過去にはグッドイヤーもダンロップのようなガラス状引っ掻き素材を添加していました。

 

表面を多孔質構造にすることで効く

まずは左図を見て頂きましょう。この図はベースとなるコンパウンドに球状の添加素材「Mチップ」が混ぜられていることを模式的に表したものです。この球状の添加素材はベースコンパウンドとは別の素材で出来ており、表面に露出すると溶けてなくなります。この溶けた後の穴「細孔」がポイントで添加素材そのものが吸水効果を発揮するわけではなく、細孔の水を吸う特性が吸水性能を発揮します。細孔が表面にたくさん存在するとスポンジが水を吸うように氷表面の水膜を除去する効果を発揮するのです。この表面の吸水構造は一般にスタッドレスタイヤで最も高い氷上性能で信頼を得ているブリヂストンのブリザックの発砲ゴムに似ています。しかもブリザックと違ってコンパウンド内部はしっかり詰まった状態なのでトレッド剛性は保たれるので高い走行性能も維持します。

※沢山の細孔が空いた物体を多孔質体と呼び、多孔質体は細孔に水を取り込むと化学的に安定するため周囲の水を取り込みます。

 

表面「だけ」を多孔質構造にすることで走行性能を高める

このコンパウンドの肝は添加素材が表面に露出するまでは内部の構造物としてトレッド剛性を保ってくれることです。
似たような多孔質構造により水膜除去をして効く構造のスタッドレスタイヤにブリヂストンのブリザックとヨコハマのアイスガードがあります。これらは氷上で非常に高い効きを発揮する一方で、内部までスポンジ状の構造を持っているためトレッド剛性が弱く、どうしても柔らかい走行性能になりがちで摩耗も早い傾向にあります。
これに対し、ミシュランの「XI3 PLUS」は表面に露出するまでは添加素材がトレッド内部に存在するため、ほとんど剛性を落とすことがありません。そして表面にのみ多くの細孔を存在させて、効果的に水膜除去性能を発揮するという実に合理的な構造をしています。ミシュランのタイヤ全般に言えることですが、何かを得れば何かを落とすことを良しとせず、バランスを重視した安全性能を持ったタイヤになっており、「XI3 PLUS」もより高い氷上性能を目指したが走行性能を犠牲にすることはしていないのです。

 

他メーカーとの性能比較

現状では細孔の密度も大きさも分からず、氷上性能の比較データもないのでブリザックやアイスガードとの比較はできません。実は「XI3 PLUS」の走行会にも呼んで頂いているので追って報告します。







まとめ

➀新たな添加素材により吸水性能を発揮して氷上性能を高めています。
➁表面に露出した添加素材が溶けてなくなった場所に出来る細孔が氷表面の水膜除去をして効きます
内部に存在する添加素材は構造物としてトレッドを支えるため高い走行性能を持ちます。
 そのため速度記号もHまたはTと夏タイヤ同等か近い性能です。
➃他メーカーとの比較は今後に期待してください。

 

まだ夏も来てないというのにスタッドレスタイヤの話題です。この業界も毎年前倒しされていってナビゲーターのおじさんも困っちゃいます。

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コンチネンタル「PremiumContact 6(プレミアムコンタクト6)」発売

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コンチネンタルタイヤから新製品「Premium Contact 6(プレミアムコンタクト6、以下PC6)」が2017年7月1日発売されました。

 

製品の位置づけ


当サイトではプレミアムスポーツタイヤと位置付けます。
参考)代表的なプレミアムスポーツタイヤ

 

名前からすると「ContiPremiumContact5(プレミアムコンタクト5、以下CPC5)」の後継のようですが、実際にはCPC5と「ContiSportContact5(コンチスポーツコンタクト5、以下CSC5)」を統合した形で、むしろCSC5の方がベースになっているようです。
 CPC5は当サイトでもプレミアムコンフォートと定義しましたが国内で言うところのプレミアムコンフォートというにはやや違和感があり、かなり走行性重視に寄っていながら走行性能も快適性能は中程度であり、上記の図ではスポーツコンフォートくらいが妥当だったかもしれません。

そこをいくとPC6は走行性能と快適性能などタイヤに要求される全ての性能を高いレベルでバランスすることが重視されており、コンチネンタルの言葉を借りれば「乗り心地、正確なステアリングレスポンス、最高の安全性、そして優れた環境特性に関して高まり続ける要求を、1つの製品で満たす」ことを目指しており、これはまさに「プレミアムスポーツタイヤ」が妥当と考えられるわけです。

 

技術的な特徴

1.新開発の結晶シリカコンパウンド

特に濡れた路面状況において優れた制動性能を発揮します。 また、CSC5の安全性能を維持しながら、耐摩耗性能は大幅に改善されました。

 

2.アドバンスド・マクロ・ブロック・デザイン

3つのテクノロジーの採用により、限界のコーナリング時における安定したコントロールを生み出します。
1)大型ショルダーブロック
2)排水機構
3)隣接ブロック同士の連動機構
パッと見あまり似てないようにみえるのですが、特にアウトサイドなどがSportContact 6から採用したトレッドパターンなのだそうです。

 

3.パフォーマンス・フットプリント

最適化したポリマーブレンドにより、接地面を最適に保ち摩耗寿命を15%以上改善しています。 また、スムーズなパターン剛性により走行快適性や走行距離が向上し車外騒音が低減されています。

 

4.パターンデザイン


高度なマクロブロック設計により、高いコントロール性能とコーナリングの安定性を発揮します。 さらに、非対称リブアングルはコーナリング時の横方向からの力を受けてもブロックが倒れこみにくく高いグリップ性能を発揮する。

 

ContiSportContact5との対比

 

CSC5との対比が本国のサイトに掲載されているので日本語化してみました。ほぼ完全上位互換と言って良い性能で特にCSC5では早かった摩耗寿命が改善され、ノイズなどの快適性能や燃費なども向上しています。燃費性能としては国内メーカーの標準的な低燃費タイヤと同等程度の性能を持っているようです。耐ハイドロプレーニング性能はわずかに低下していますが、時速200km超からのフルブレーキングが想定され高い性能を誇るCSC5が基準ですから、日本の道路事情ではなお余りある性能と言って良いでしょう。







まとめ

➀設計ベースはCSC5です。
➁CSC5の走行性能に摩耗寿命や快適性能をプラスしたタイヤです。
➂当サイトでの位置づけはプレミアムスポーツタイヤです。
➃ブリヂストンで言えばPOTENZA S001が近い。
➄バランスが良く仕上がった多くの日本人にも好まれるタイヤと言えます。
➅日本のラベリングを取得していませんが、日本の「低燃費タイヤ」に相当する性能を持っています。

プレミアムコンタクト6の性能評価や相対評価ゲージはコンチネンタル PremiumContact6

 

タイヤサイズ

日本の低燃費タイヤラベリングは取得されていないので、EUラベルを掲載しました。
日本と欧州のラベリング制度の対比
燃費  :日本’A’ ≒ 欧州’C’
ウェット:日本’a’ ≒ 欧州’A’

EUタイヤラベル korogariTeiko26:転がり抵抗係数 wetGrip26:ウェットグリップ性能
対象のタイヤサイズをクリックするとネット購入できます。
※日本と欧州のラベリング制度の対比
PremiumContact6
インチタイヤサイズEU-LABEL-FUEL-EFFICIENCYEU-LABEL-FUEL-EFFICIENCY備考
18275/40R18 103YCA1
245/40R18 97YCA1
235/40R18 95YCA1
225/40R18 92YCA1
255/45R18 103YCA1
245/45R18 100YCA1
235/45R18 98YCA1
225/45R18 95YCA1
235/50R18 101YBA1
17245/40R17 91YEA
205/40R17 84YCA1
245/45R17 99YCA1
235/45R17 97YCA1
225/45R17 94YCA1
215/45R17 91YCA1
205/45R17 88WCA1
225/50R17 98YCA1
215/50R17 95YBA1
205/50R17 93YCA1
備考1.エクストラロードタイヤです。
PremiumContact6 SUVサイズ
インチタイヤサイズEU-LABEL-FUEL-EFFICIENCYEU-LABEL-FUEL-EFFICIENCY備考
19255/50R19 107YBA1
255/55R19 111VBA1
225/55R19 99VCA
18255/55R18 109Y--1,⑪
235/55R18 100VBA
225/55R18 98VCA
235/60R18 107VCA1
備考1.エクストラロードタイヤです。
備考⑪.2017年11月発売予定です。
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