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2016-2017年一番止まるスタッドレスタイヤを(勝手に)決めたった SUV編

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昨年もやりましたスタッドレス勝手に決めたったシリーズの第2弾。今回はSUV編です。

 

スタッドレスタイヤの性能は普段からタイヤを扱っている人間からしても分かりにくいのは昨年も申し上げたところ。長年タイヤに携わっているのでそれぞれの違い、特徴は把握しているのだけれど、本当のところ「どいつが一番止まるんだ?」、「効きの差は?」、「効きの持ちの差は?」などなど疑問がある。今回は「どいつが一番止まるんだ?」に主眼を置いた話をします。

 

氷の温度、氷の状態、気温、車、タイヤサイズ、空気圧、制動速度など全ての要素を揃えて検証するのは難しい。とはいえ転がり抵抗係数のような物理的な数値の算出してくれれば、各社のカタログ値も「何メートルで止まったぞ」という自画自賛に終わらないんですけどね。しかし、どうも他社との比較を良しとしないので(法的な問題もあります)難しいところですが公表値をまとめて考察するので参考にしてもらえたらと思います。
そうそう、こんな状況ですが今年も「あるメーカー」「またやってくれた」ので注目してみましょう。

 

公表されている氷上試験

以前からタイヤナビゲーターのサイトを見て頂いている方にはピンときた方もいるかも知れませんが、「どのメーカー」が何を「またやってくれた」のか見ていただきましょう。

 

ブリヂストン

タイヤ銘柄ブリザック
DMV2
車種CR-V
排気量2,400cc
四輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ225/65R17 102Q
タイヤ空気圧210kPa
場所軽井沢風越公園
アイスアリーナ
路面状況氷盤
気温7.8℃
路面温度-1.2℃
試験速度20km/h
制動距離12.26m

ヨコハマ

タイヤ銘柄iceGUARD
SUV G075
車種CR-V
排気量2,400cc
四輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ225/65R17 102Q
タイヤ空気圧210kPa
場所軽井沢風越公園
アイスアリーナ
路面状況氷盤
気温9.1℃
路面温度-1.2℃
試験速度20km/h
制動距離11.9m

ダンロップ

タイヤ銘柄WINTER MAXX
SJ8
車種ヴァンガード
排気量2,400cc
四輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ225/65R17
タイヤ空気圧220kPa
場所住友ゴム工業(株)
名寄タイヤ テストコース
路面状況氷盤
気温-1〜-3℃
路面温度データなし
試験速度20km/h
制動距離14.3m

グッドイヤー

タイヤ銘柄ICE NAVI
SUV
車種CX5
排気量1,997cc
四輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ225/65R17
タイヤ空気圧220kPa
場所岡山国際
スケートリンク
路面状況氷盤
気温-2.0℃
路面温度データなし
試験速度20km/h
制動距離13.0m

ミシュラン

タイヤ銘柄LATITUDE
X-Ice XI2
車種プラド
排気量4,000cc
四輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ265/65R17 112T
タイヤ空気圧200kPa
場所データなし
路面状況氷盤
気温-2.7〜-3.0℃
路面温度-2.3〜-2.5℃
試験速度20km/h
制動距離9.95m

おわかりいただけただろうか

重要なデータが揃えられていない試験というのは何とも不快ですがSUV用は普通乗用車用に比べればかなりマシですね。制動速度は揃っているしミシュラン以外は中型SUVでタイヤサイズも225/65R17で揃えられている。しかし、ナビゲーターが最も重要と考えている路面温度がそろっていないこと。本来から言えば1℃違うだけでも結果が大きく変わってしまうであろう氷の温度(路面温度)にばらつきがあったり、公表されていないメーカーすらあるのは比較する大きな障害なんですが…

 

しかし、待って下さい。今回は分かりやすいのであなたも既に気付いていることでしょう。スタッドレスタイヤの最高峰といったイメージを持つ方も多く信頼性の高いブリザックと試験方法をガッツリぶつけてきたメーカーがあります。そうまたヨコハマです。

 

※なぜ氷の温度が大切かを簡単に説明すると「水膜」が関係しています。氷の温度が高ければタイヤが触れた瞬間にミクロの水膜が出来これが「滑る」大きな要因となります。故に各社何かしらの方法でスタッドレスタイヤによる水膜除去対策をしているのです。昔アイスガードのTVCMで「乾いた氷は滑らない」というキャッチコピーがありました。イメージしてください。乾いた鉄板の上でブレーキをかけた場合と、鉄板の上に薄く油を塗った場合、どちらが滑るかは今あなたの想像された通りです。氷点下の氷は乾いた鉄板のようなものですが、タイヤが触れた瞬間「溶けて」油を塗った鉄板のようになります。より水膜除去が得意なタイヤは温度の高い氷でも優秀な氷上性能を発揮します。一方、氷上が得意でないタイヤは氷の温度を低くしてあげれば「期待される効き」のデータが取れることになります。

 

それでは一応並べてみましょう(既に並んでいましたね)。

タイヤ銘柄ブリザック
DMV2
車種CR-V
排気量2,400cc
四輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ225/65R17 102Q
タイヤ空気圧210kPa
場所軽井沢風越公園
アイスアリーナ
路面状況氷盤
気温7.8℃
路面温度-1.2℃
試験速度20km/h
制動距離12.26m
タイヤ銘柄iceGUARD
SUV G075
車種CR-V
排気量2,400cc
四輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ225/65R17 102Q
タイヤ空気圧210kPa
場所軽井沢風越公園
アイスアリーナ
路面状況氷盤
気温9.1℃
路面温度-1.2℃
試験速度20km/h
制動距離11.9m

アイスガードがブリザックを超えている

車種やタイヤサイズ、制動試験の速度、試験場所など多くの点が共通しているのである。しかも、業界トップでスタッドレスタイヤで最も信頼の厚いブリザックを擁するブリヂストンのDM-V2より、iceGUARD SUV G075の方が1割ほど短い制動距離で止まっているのだ。普通乗用車用スタッドレスタイヤに続いてSUV用タイヤでも試験条件をぶつけてくるとは、ちょっとニヤニヤしちゃうよね。各社このくらい闘争心むき出しで競ってほしいものですね。

 

因みにヨコハマの担当営業に「試験条件ぶつけましたね」と話をしたところ「偶然ですよ(笑)」と確信犯の笑顔でとぼけていました。




その他の比較

縦方向はヨコハマとブリヂストンが強い

ブリヂストン、ヨコハマともに一般的に滑りやすく厳しいと考えられる高めの路面温度であって、20km/hという低速においてでも他メーカーにこれだけの差をつけた短い距離で止まっているのは流石。

 

ウインターマックスSJ8とアイスナビSUV

ここで少し車重を見てみます。排気量とグレードから考えるとCR-Vは約1,550kg、ヴァンガードは約1,600kg、CX-5は約1,500kg(CX-5に2Lの4WD設定がないので排気量基準)と考えられます。一般に軽い方が制動距離は短くなる(今回のケースでは重いとより大きな摩擦熱が発生し滑る要因の水膜が多くできる)ので、そういった意味ではブリヂストンとヨコハマは中程度の条件で試験をしていることになります。そしてグッドイヤーは最も軽い車で試験し、ダンロップは最も不利な条件で試験をしている。100kg(7%)ほどの重量差だがバカにならない。路面温度がないので今回のデータだけでは比較のしようがないが、実際にはデータ通りグッドイヤーの方が効くといった結果にはなりそうにないことだけは言っておきます。

ダンロップ

タイヤ銘柄WINTER MAXX
SJ8
車種ヴァンガード
排気量2,400cc
四輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ225/65R17
タイヤ空気圧220kPa
場所住友ゴム工業(株)
名寄タイヤ テストコース
路面状況氷盤
気温-1〜-3℃
路面温度データなし
試験速度20km/h
制動距離14.3m

グッドイヤー

タイヤ銘柄ICE NAVI
SUV
車種CX5
排気量1,997cc
四輪駆動
ABS作動
2名乗車相当
タイヤサイズ225/65R17
タイヤ空気圧220kPa
場所岡山国際
スケートリンク
路面状況氷盤
気温-2.0℃
路面温度データなし
試験速度20km/h
制動距離13.0m

 

LATITUDE X-ICE XI-2

今回の趣旨では比較はまことに難しい。

 

まとめ

どいつが一番止まるんだ?

DM-V2は2014年発売なので、後発なので勝って当然と言われるかもしれませんが、2016-2017年シーズンでは最も止まるスタッドレスタイヤの称号ヨコハマ iceGUARD SUV G075に与えて良いでしょう。

 

当サイトでの勝手に氷上性能格付け

iceGUARD SUV G075BLIZAKK DM-V2LATITUDE X-ICE XI2WINTER MAXX SJ8ICE NAVI SUV

※今回の比較だけでは分からないけど、様々なタイヤの試乗、自家用車や社用車などでの使用、お客様からの声など様々な要素からナビゲーターが勝手に付けたものです。

 

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買収から1年半、中国による買収はピレリに何をもたらしたか

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経緯

2015年3月23日、中国の国有化学大手、中国化工集団が欧州大手タイヤメーカーピレリを71億ユーロ(約9200億円)で買収することを発表しました。この時点で発行済み株式の26.2%を保有することになります。
因みにピレリは世界シェア5位のメーカーで、2014年12月期の売上高は60億1800万ユーロ(約7800億円)でした。

 

ピレリ側の反応

多くの日本人は中国資本による買収に対しマイナスイメージを持つかもしれません。しかし過去に日本がかつてそうであったように中国は金余り状態で、そのダブついた資金をもって海外への投資を強めています。また今回の買収は敵対的なものではなくパートナーとしての資金流入といえることもありピレリ側も概ね歓迎ムードです。
その証拠にピレリの会長兼CEOは、「ケムチャイナのような世界的企業とのパートナーシップは、ピレリにとって素晴らしい機会」としていて、経営体制は変わらず継続されています。

 

現在の状況

dragon01買収から約1年半が経った現在の状況を見ると、中国の潤沢な資金が流入したことはピレリにとってプラスに働いているといえます。例えばよりライトなスポーツユーザーを取り込むべく設計された「ドラゴンスポーツ」のリリースはこの資金のおかげともいえます。現状のケムチャイナは「金は出すが口は出さない」というスタンスのようで、経営も開発もピレリに任せ、強い許認可権を持たず開発に必要な資金はしっかり出しています中国の工場での生産体制も拡充しておりピレリは今後さらにアジア圏で力を増すでしょう。

 

実は同様のケースが他にもあります。それが中国の浙江吉利控股集団によるボルボの買収です。中国資本になった後に投入されたV40は非常に人気があり、XC60は2016年上半期のグローバルでのベストセラーモデルで、73,817台を販売しました。新たに投入されたXC90も高級感のある革新的なデザインで話題となっています。2015年の世界累計販売台数は50万台超で、これはボルボ史上初の数字です。
これは潤沢な資金が入ったことで今までより多くのデザイン案や開発案を提出でき、より良いものを選択できた結果と考えられます。

 

日本からは一見チャイナマネーに「買われてしまった」と見えるかもしれませんが、実は大量の資金が入ってくることで、より良い製品のリリースができたわけです。つまり必ずしも悪いことではないどころか、現在のところ非常に良い面が出ているといえるわけです。

 

今後の展開

ピレリはよりアジア市場に大きく参入してくることになるでしょう。チントゥラートP7などのアジア圏でより好まれるコンフォート系タイヤは中国で生産されるサイズも増えてきています

 

中国製ピレリの注意点

全く同じであるはずのタイヤであっても中国製は少し違います。日々タイヤに触れているナビゲーターはある日違和感を覚えました。中国製のチントゥラートは「何か今までのタイヤと違う」と感じたのです。何が違うのかといえば「重い」のと「硬い」のです。ピレリの担当営業にぶつけてみました。

 

ピ:ピレリ担当営業 ナ:ナビゲーター

ナ:
中国製は他国製と違うように感じますが?
ピ:
おっしゃる通り、実は他国製と違いがあります。
ナ:
重く硬いように感じますが?
ピ:
実際重いですし、おそらく硬いと思います。
ナ:
やっぱり!同じタイヤなのになぜでしょう?
ピ:
それは中国国内の事情にあります。中国はまだ道路事情がよくありません。そこで外からのダメージに強くするため側面の強度などに法的な高い基準があるんです。
ナ:
なるほど。そうであればそれほどネガティブな話ではないですね。
ピ:
そうですね。ただ燃費がやや低下することと乗り心地が硬く感じられることはあるかもしれません。
ナ:
スポーツ走行でなければ問題にはなりませんが、ハンドリングもやや落ちるということになりますね。
ピ:
重さが関わりますから多少は否めません。
ナ:
メイドインチャイナはどれくらい入ってきていますか?
ピ:
現在のところピレリジャパン経由で日本に入ってくるものは多くはありません。
ナ:
そうすると並行品などでは中国製があるかもしれませんね。よくわかりました。有難うございました。

 

ピレリジャパンから仕入れをしているお店では中国製は多くないようですが、自社で並行輸入していたり大手の卸から購入している販売店ではある程度の割合で中国製という可能性があります。性能的にも大きな問題はなさそうですからナビゲーターは気にする必要はないと考えますが、気になる方は避けたほうが無難ですね。安全に関わることですし、やっぱり何となくイメージが悪いと考える方がいるのは理解できます。ナビゲーターも食品なんかは避けてしまいますしね。

 

まとめ

➀中国資本の投入で新たな製品のリリースなどピレリにとってはプラスの影響が出ていると考えられる。
➁今後、チントゥラート系などでは中国製のピレリが増加する可能性がある。
➂並行輸入品では中国製も増加傾向にある。
➃但し、P ZEROなどのフラッグシップタイヤは現状では中国生産はないし、その予定もないようです。

 

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「タイヤ=1人/4人」これなんでしょう?

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ある調査によれば2016年現在の4輪自動車用タイヤの約25%はウェブなどを使って「通信販売で購入」されているそうです。通信販売では買いにくいと言われていたタイヤですが、どうしてこのような変化が起きているのでしょうか?

 

価格の開きの大きさ

例えば、今季発売されたミシュランタイヤの新商品パイロットスポーツ4ですが、大手量販店で販売価格を見ると1本30,000円を近い金額でした。ナビゲーターの自宅近くの安いと評判のタイヤ専門店でも25,000円ほどで4本買えば約10万円です。
それに比べてウェブ上のネット販売店では1本16,200円で売られていました。1本で1万円ほどの差があり4本では4~5万円もの開きがあります。
これほど大きな差があると知ってしまっては店舗で購入との天秤にかけて通販で購入する方が増えるのも頷けます。しかも、この例は新商品なので製造が古いタイヤなんてこともありえないのです。

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環境の変化

少し前は買った後に問題があった

家電製品などと違いタイヤは買ってそのまま使えるというものではありません。ホイールに組み込んで初めて役に立つわけです。自分で組み替えることも不可能ではありませんがハードルが高く、工具も必要になるので結局どこかに頼むのが順当です。
ここで問題となるのは、「組み換えが出来るところはタイヤを販売している」ということで、組み換えが出来るお店でも以下の理由から持ち込みタイヤを断っているところが多かったということです。

 

➀持ち込みタイヤを組み替えるのは儲からないので面白くない。
➁大抵はメーカーとの間で販売本数のノルマを持っているので自社で売りたい。
➂持ち込まれたタイヤに問題があっても組みつけたお店に苦情がくる。

 

儲からない上にクレームなどのトラブルの種となれば嫌われるのも当然と言えます。

 

今は作業を請け負ってくれるお店が増えた

➀ネット通販店と提携をして組み付け作業を請け負うお店が増えました。
➁整備工場などでも持ち込みハメ換えを請け負うところが増えてきました。
➂フランチャイズの車検屋さんで「持ち込みハメ換え歓迎」という看板も見掛けます。

 

これらは販売側の企業努力での提携店獲得に加えて、不景気によって作業者を遊ばせておくくらいなら工賃仕事を請け負ってでも儲けようという、お店側の姿勢の変化があります。また、アイサイトに代表される車の安全性の向上で事故が減り、板金などの仕事が大幅に減少していることも要因となっているかも知れません。

 

スマホの登場

スマホ操作まさにいつでもどこでも指1本でタイヤを買えるようになりました。タイヤを選ぶ際の性能評価や口コミもどこでも読んで吟味できます。最終的にはご自身で判断しなければならないというハードルはありますが、それさえ気にならなければとても安く購入できます。

 

サービスの向上

自宅でなく提携の取り付け店舗へタイヤを送ってくれるサービスがある通販店まであり、重いタイヤを積み込む手間や苦労がなくなったため、女性でも心配は要りません。
そもそも、販売側も商売ですから分からないことがあれば聞いてみれば親切に応対してくれるお店がほとんどです。







 

まとめ

あまり構えず気楽に利用してみることをお勧めします。利用してみれば拍子抜けするほど簡単で「得」ができてしまいます。特にこれから購入が増えるスタッドレスタイヤはホイールセットで購入される場合、自分でも簡単に取り付けできますし、ガソリンスタンドなどでも取り付けてくれるのでハードルはとても低いといえます。

とはいえ、「よく分からないし人任せにしたい」、「面倒だ」と思う方には向きませんし、そういった方は一定の割合で存在し続けます。経済的に余裕があって、面倒なことに時間を費やしたくないという方もいるでしょう。これら様々な理由から、現状ではタイヤ通販利用者はこの約25%という割合に落ち着くといわれています。

 

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実は間違い?タイヤの黄色い点(軽点)とバルブ位置の組み付け関係

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『タイヤ側面に見ることが出来る「黄色い点」はバルブの位置に合わせて組み込むものだ。』なんて話を聞いたことはないでしょうか?果たして本当でしょうか?そもそも「黄色い点」の意味とは?
よく言われていることを鵜呑みにしていると恥をかくかもしれない。だけど知っていても大して得することはない。そんなウンチクです。

 

タイヤにつけられている印は何なのか?

タイヤ軽点ユニフォミティ拡大
タイヤの側面には幾つかの「印」がつけられていることがあります。使用していると剥がれたり消えたりしてしまうことも多いので新しいうちにしか見ることが出来ない場合が多いのですが、この「印」はいったい何なんでしょう?

 

黄色い点は何なのか?

タイヤ単体で最も軽い点であり「軽点」と呼ばれています。
国内メーカーではほとんどのタイヤにつけられていますが、欧州メーカーではほとんど採用されていません。

 

赤い点は何なのか?

「ユニフォミティマーク」と呼ばれタイヤ単体で外径が最も大きい部分につけられています。
国内メーカーの一部のタイヤにつけられていますが、欧州メーカーでは見たことがありません。




なぜ欧州メーカーにはないのかミシュランに聞いてみた

ミシュランは現在一切のマークをつけていませんので担当営業に聞いてみました。

 

ナ:ナビゲーター ミ:ミシュラン担当営業

ナ:
ミシュランタイヤで軽点やユニフォミティマークをつけていないのはなぜでしょう?
ミ:
弊社では十分なバランスと真円性を持った製品を供給しているため必要ないと考えています。
ナ:
普段からタイヤの組み付けにも関わる身として正直に言いますが、それほどバランスが均等だとは思わないのですが如何でしょう?
ミ:
完全に均等とは申しませんが、弊社としては十分と判断しています。
ナ:
ざっくばらんに教えてほしいのですが、イチ営業マンとしてとしてはどう考えていますか?
ミ:
本国の考えている十分な許容範囲という考えに同意しますが、他社製品と比べて特別バランスが良いとも考えていません。しかし必要十分な範囲であるとの考えには変わりありません。真円性についても同様です。
ナ:
なるほど。
ミ:
個人的にはマーキングしても良いような気もしますが、コストもかかりますからね。
ナ:
タイヤ屋としてはあると助かりますが、そこまでの必要はないと考えているわけですね。
ミ:
そうなります。要望が多ければ今後検討されることもあるかもしれませんが、現状その声は大きくないようです。
ナ:
有難う御座いました。

 

何のためにこのようなマーキングがあるのか

ホイールユニフォミティ拡大当然マーキングされている意義があります。タイヤは単体で使うことはなく、必ずホイールに組み込んで使うことに関係しています。そしてホイールにも同様に重さや真円性の偏りがあります。
勘の良い方はもうお気づきでしょう。そうホイールと組み合わせた際にバランスをよくしたり、真円性をよくしたりするために使われるのです。

 

ホイールの重い場所

ホイールには通常1箇所均等でない部分があります。それがエアバルブが取り付けられている箇所です。一般に余分に部品がついているので重いと言われています。

 

ホイールにもあるユニフォミティマーク

純正ホイールにもタイヤ同様に「ユニフォミティマーク」がつけられていることがあります。ただタイヤとは逆に外径が最も小さい部分に、大抵は白か水色の点がつけられています。




バランスか真円か?

タイヤホイールを組み付ける際、理想的と「思える」以下の3つの方法があります。
バランス重視:タイヤの最も軽い点とホイールの最も重い(と考えられる)点を合わせて組む
真円重視:タイヤ外径の最も大きな点とホイール外径の最も小さい点を合わせて組む
➂ユニフォミティテスターを使う:マーキングに頼らず高い真円性を得られる組み方(今回はマーキングについてなので詳細は除外)

 

➀バランス重視の軽点合わせ

なぜか

軽点合わせ軽点のバルブ位置合わせをするのは主にタイヤ屋さんの手前事情と考えられます。バランスは組み付けた後で重りを打ったり貼ったりして調整するので、本来は組み付け時には気にする必要はないはずです。しかし、組み付けた時点で出来るだけバランスが良ければ少ない重りで調整が済むため、少しでもコストが節約できます。こんな経営者側の事情の作業方法が、引き継がれる過程で「意味」が消え、「正しい方法」とされるようになったのかもしれません。

 

問題

タイヤについては軽い点が測定されていますが、ホイールは「重い可能性が高い点」を組み合わせます。確かに組み付けた時点でバランスが良いことは多いですが、場合によってはバランサーにかけたら非常にバランスが悪く、正反対に組み直すケースがあることも事実です。思考停止して黄色い点とバルブを合わせれば良いわけではありません。
※一手間かかるので普段から実施されるお店は多くないと思いますが、組み付け時に最適なバランスをとるベストマッチング機能がついたバランサーもあり、この機能を使った場合ほぼ軽点は合いません。「軽点がズレている」ではなくベストマッチング組み付けをした結果ということも考えられます。

 

ユーザーのメリット

たとえ数十グラムでも軽く仕上がる「傾向」があります。サーキット走行などでの高いハンドリング性能を求めて軽量ホイールを装着したのなら、ウェイトも出来るだけ少なくしたいと考えるのも頷けます。僅かとはいえその助けにはなるでしょう。
仕上がりとして沢山ウェイトが付いているより最小限の方が美しいのは間違いありません。

 

➁真円重視のユニフォミティ合わせ

なぜか

ユニフォミティー合わせ
タイヤは自ら変形することで滑らかな走行を助けてくれるとはいえ、スムーズで安全な走行には高い真円性が重要です。タイヤメーカーもホイールメーカーも高い真円性を持つように製造を行っていますが完全ではありません。そこでユニフォミティを合わせてタイヤホイールを組み付けることで最も高い真円性が出る組み付けができるわけです。JATMA(一般社団法人 日本自動車タイヤ協会)でもユニフォミティで合わせることが推奨されていますし、新車時にユニフォミティがあるタイヤの場合、多くはユニフォミティ合わせで組み込まれています。

 

問題

ユニフォミティマーキングについて、軽点に比べて採用しているメーカーが少ないのでタイヤ側にもマーキングがない場合が多く、更に純正ホイールでもすべて採用されているけではありません。このため合わせたくても合わせられないことが多いのが実状です。

 

ユーザーのメリット

真円性が高い組み付けは、よりスムーズで安定した走行を実現します。
経験上、ユニフォミティ合わせで組み付けるとバランスも良くなることが多く、結果的には少ない重りで調整がきく傾向にあります。(勿論必ずではありません)




まとめ

・タイヤを組み付ける際、マーキングについてはルールはありません。
・軽点とバルブでも、ユニフォミティでも、全く気にしなくても組み付ける側の自由です。
そうは言っても
・JATMAはユニフォミティ合わせで組み込みを推奨しています。
・新車装着のユニフォミティのあるタイヤの多くはユニフォミティ合わせで組み込まれています。
・軽点バルブ合わせもメリットのある良い仕事で「あり」だと思います。
・こだわるお店はユニフォミティテスターを備えていますが工賃は高額になる傾向にあります。

 

ナビゲーターのお店では基本的はユニフォミティ合わせを行い、マークがない場合は経験から出来るだけ真円性が出るように組みます。場合によっては軽点とバルブを合わせて組むケースもありますし、ベストマッチングを行いバランス重視で組む場合もあります。
個人的にはマークが無くても高い真円性が出せるユニフォミティテスターを用いた組み付けをしたのち、バランスをとるのがベストと考えています。
というのもバランスについては重りで調整できますが真円性は組み込み時しか調整できないためです。ただナビゲータのお店では組み付けで振動が出るのは数百台かそれ以上に一台といった割合です。これほど少ないことを考えれば、毎回ユニフォミティテスターを使用するまでの必要はなく、振動が出てから再調整で良いのではないかと考えます。手間も時間もかけて費用も高くなるので、最上級の仕事をすることが必ずしも顧客の方を向いているとは言い切れないからです。

 

お店毎に最善と考えている方法で作業をされていると思いますので、参考程度に考えてください。気になるようなら作業される店舗のスタッフの方に作業方針を聞いてみるのが良いと思います。




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未使用状態のタイヤの保管期間と性能低下についてハッキリさせようじゃないか

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「製造してから時間が経ったタイヤは使用していなくても性能が低下しているので買わない方が良い」こんな話を聞いたことがありますか?ナビゲーターは職業柄よく耳にします。そこで製造からの保管期間と性能低下の関係について白黒ハッキリさせましょう。

本当に低下するのか?

結論から言います「しません」
より科学的に言えば、「ゼロではないが無視できるレベル」が正しいでしょうか。

まず事実として、業界最大手のブリヂストンが「適正保管されていれば、少なくとも3年はほとんど性能変化がない」という検証実験の結果を公表しています。
ブリヂストン:適正保管タイヤは、3年間同等の性能を保つ
一方で保管期間中に性能低下する試験結果は公表されていますでしょうか?ナビゲーターは見たことありません。

使用に際して過酷な環境にさらされるタイヤのゴムは化学的に安定な物質であり、簡単に自然に変質していくものではありません。もし置いてあるだけで簡単に劣化するような不安定な物質であれば、1トンを超える車に押しつぶされて変形を繰り返し、高速走行し、真夏に走行して触れば火傷するほどの温度になるのに、性能を長期に保っていられるわけがないのです。つまり、適正管理された倉庫に置いてあるだけで劣化して性能低下するなどというのは考えにくいのです。
更に言うならば、長年タイヤに関わる仕事をしていますが、お客様などから保管期間が長かった未使用タイヤを使用したら滑ったなんていう話も耳にしたことがありませんし、そのような統計データも見たことがありません。冷静に見れば車に装着され、高温になったり激しく変形したりし始めた時点から徐々に劣化が始まると考えるのが妥当ですし、各メーカーの見解も同様です。

つまり科学的根拠や統計的データもないが、なんとなくそれっぽいという感覚的な話が、如何にも真実のように流布されてしまっているようなのです。




大手タイヤ販売店から始まった

では、なぜこのような話が発生し、広まってしまったのでしょう?ナビゲーターの聞いた話ではこんな経緯があったようです。
メーカー系タイヤショップは扱える商品が概ね自社ブランドに限られる上に安売りが難しい。価格をコントロールしたい本部からの締め付けが厳しいためです。そうなると何かしら「付加価値をつけるしかない」。

そこで生み出されたのが「新鮮タイヤ」という売り文句です。付加価値として製造から時間あまりが経っていないことを売りにしたのです。なるほど化学的根拠もデータもないが、なんとなくそうかなと思ってしまうような話。
そんな話がなんとか売り上げを上げなければと、熟慮せず使われるようになってしまったこと、その企業が大手だったこと、加えてネット社会になって急激に拡散してしまったこと。これらによって根拠なく本来品質に問題がない製品に悪評が付いてしまったのです。

繰り返しますが保管期間中に劣化する試験結果をナビゲーターは知りません。
価格で勝負するのが難しいメーカー系大手タイヤショップによる販売の為の苦肉の策が、火のない所に煙を立ててしまったのです。

皮肉なことだ

定かではありませんが、「新鮮タイヤ」を最初にうたったのは他でもないブリヂストン系タイヤショップのタイヤ館だそうです。だとすれば、ブリヂストン本体が直系ショップに過度な安売りを禁止した結果、新しいタイヤを欲するユーザーが増えたということになります。タイヤ館以外の販売店からは要求や苦情、ユーザーからは問い合わせなどが増加しブリヂストン本体は「少なくとも3年は問題ない」と実験まで行って火消しを行ったことになります。これが本当ならば、皮肉な結果ですね。

欧州メーカーは取り合わない

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製造年週が新しいものを要求したり、古いものが入荷したので新しいものに交換を要求しても、コンチネンタルやピレリなど名門欧州メーカーは取り合ってくれません。唯一得意先にのみ対応しているのは日本市場にある程度理解のあるミシュランくらいです。(ノーチェックで出荷させるより僅かばかり高い仕入れになりますけど。)

なぜ名門メーカーでも対応しないのか?

彼らの言い分はこうです。
性能に変化がないのにどうしてそんなことをしなければならないのか?理屈でなく気持ちの問題だろう?合理的じゃない。そんなことをしたら古いものが残って新しいものから出荷され、結果として破棄しなければならないタイヤが増える。確認するための手間も管理するための手間もかかる。その手間も当然タダではないのだ。
といった具合です。

しかも、そんなことをしたらこれらのコストは誰が吸収するのか?勿論購入するユーザーです。不条理に思うならズレているのは半分あなたです。不合理で過剰な要求をしているのはユーザーです。ならば、その要求に応えるためにかかったコストをユーザーが払うのは当然です。半分というのは問題はそんなことを気にしない人も割を食うことです。
日本人はタダであることに慣れ過ぎています。しかし大抵は見かけ上のタダであって、その分のコストはちゃんと乗せられている。しかも知らないうちにあなたが払っています。実は合理的でない要求をする一部のユーザーのせいで、それに応えているメーカーの製品は余計に高く売られているのです。本来からすれば、そういった要求をするユーザーから手数料をとって販売するのが、それ以外の人にも幸せな道なのですけれど…




少し簡単な化学の話をしましょう

実験器具

出来るだけ簡単に話します。
よく劣化と言っているのはいったい何なのでしょう?
➀ゴムとオゾンや酸素などが反応して、化学的に別の物質や状態に変化している
※ゴム分子は加硫による架橋で柔軟性を獲得していますが酸化により、この架橋が切れると柔軟性を失います。
➁均一に分散されたゴムから油が抜けるなど大きな構造が変化している
概ね考えられるこの2つのことについて考察してみましょう。

➀化学変化

ゴムは安定した物質です。故に何年も過酷な環境下に置かれながら車を走らせ、止め、支え、曲げてくれます。しかし、長年外部からの熱などのエネルギーと酸素などが加われば化学構造が変化して柔軟性や弾性を失っていきます。安定した物質であるゴムが化学変化をしようとするとき、外部からのエネルギーはそれなりに大きなものでなければなりません。その一番の悪者であるエネルギーは「熱」だと言われています。よく最も悪者扱いされる「紫外線」も問題ですが、走行時などに加わる熱エネルギーに比べれば影響は小さく、直射日光を避けてあげれば簡単に大気中の酸素と反応していくことはありません。
但し、オゾンは非常に反応性の高い物質です。オゾンは僅かなエネルギーでもゴムをボロボロにするので気を付ける必要がありますが、反応性が高い物質は不安定です。故に普通の環境ではほぼゼロ、無視できるレベルしか存在していません。
つまり管理倉庫保管なら大幅な性能低下は考えにくいということになります。

➁構造変化

製造されたタイヤの素材はゴムや油などが均一に分散されています。しかし熱や変形などで硬化防止剤や油が浸み出したり、均一性が失われ性能が低下します。この変化もそれなりに大きなエネルギーを必要とするので、高温になることがない保管時にはほぼ進行しませんが、使用開始してからは高温になるため進行します。やはり使用を開始してから進行すると言って差し支えないのです。

つまりいつかは劣化するけれど保管されている状態なら、無視できるほどゆっくり進み、使用が始まると無視できないほど劣化が早くなるというわけです。

完全と言えないのも事実である

多くの有名メーカーでは未使用でも製造から3年経ったタイヤは出荷しないのが一般的です。これは強く徹底されていて、内部の者の不正でもない限り、都市伝説のように裏ルートで市場に出回るようなことはありません。チップにされて燃料になる未来が待っています。有名企業のコンプライアンスは厳しいのです。(但し経過2~3年ほどで安く売られるケースはあるようです。)
さてこれを読んだ皆さんの疑問はもっともです。もし適正保管されていれば性能低下しないならば、5年経とうが10年経とうが出荷すれば良い、なぜ廃棄するんだ?
あなたのおっしゃる通りです。性能低下は「ゼロ」ではない。
故にどこかで線を引いて廃棄する必要があるのです。その線が多くのメーカーで3年で出荷停止、廃棄なのです。保管期間3年というのは全く問題ないレベルですが、使用される期間を加味しての対応と考えられます。




カスタマーセンターに確認してみた

電話しながらメモ
ブリヂストンとダンロップに確認してみましたが、ともに同様の回答でした。

:ナビゲーター、:カスタマーセンター

ナ:
管理倉庫に保管されている未使用タイヤが3年は性能低下しないというのは本当ですか?
カ:
はい。実験結果によってほぼ変化はないことが確認されています。
ナ:
3年経過したタイヤは出荷しないと聞きますが?
カ:
はい。出荷停止し、廃棄処分され、燃料用などに使われます。
ナ:
なぜ3年なのですか?
カ:
3年を超えるとわずかですが性能低下していきますので、出荷してから使われる時間も考え3年としています。
ナ:
なるほど食品と違って直ぐに消費されるわけではないですものね。
ナ:
製造後すぐと3年保管した場合で使用開始の初期性能が変わらないのは分かりました。劣化の速度に差はでないでしょうか?
カ:
それは確認できていませんが大きな差はないと考えています。
カ:
なるほど分かりました。色々と有難う御座いました。

まとめ

白黒つけようじゃないかと言っておいて無責任ですが完全とはいえない結論です。
タイヤは保管期間に性能が低下するか?について当サイトの結論は限りなく白に近いグレーです。
「少なくとも3年以内に製造され、管理倉庫で保管されていたタイヤについては性能低下はほぼ無視できるレベルであって、問題ない」

古いものを買いたくない心理は理解できるのでナビゲーターもお店では出来る限り新しいものを提供しますし、当サイトの販売リンクも配慮したお店選びをしています。
わざわざ古いものを選択する必要はありません。しかしまた神経質になる必要もありません。

結論:少なくとも製造から3年以内の未使用タイヤは安心して購入及び使用して問題ありません。
理屈はおいといて「気になる」(大事なこと)ならば購入を避けるのが良いと思います。




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【緊急告知】ヨコハマタイヤ値上げ情報

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値上げの動きがある情報が入ったので緊急告知します。

 

ヨコハマの人事変更

本部長クラスの人事変更もあり大きく舵が切られた形です。どこまで書いていいのやら…、本部は元々値上げしたかったみたいですけど、反対してた人がいてあーだこーだあってなんだかんだで今回の値上げですよ。あまり詳しくは書けません。ごめんなさい。

 

安売り競争から脱却

ADVANNEOVAAD08R1

ここ最近は安売り競争が激しく、それに追従する形で安売り競争に参加させられていたヨコハマが抜けだしたわけです。他メーカーが同グレード商品を値段下げしても高止まりさせていた ADVAN NEOVAあたりから、その流れはありましたでしょうか。良いものを作るにはそれなりにお金がかかるのは当然で、「それなり」や「パクリ」で作ったような製品に引きずられた現状の価格に反発したのかもしれません。

 

製品価値の上昇

最近のヨコハマは「雨に強い」ことを一つの軸に製品を送り出しており、雨の多い我が国において付加価値は高いといえます。価格を上げるだけの価値のある製品を送り出せていると考えての価格上昇ということでしょう。

 

並行輸入品

あまり大きな声では言えませんが(言ってますが)日本のタイヤの価格を決めているのはブリヂストンと言っても過言ではありません。どのメーカーもブリヂストンの値付けを横目で見ながら価格を付けています。その枠の外では、まったく同じタイヤがより安く売られていることもあります。日本で作って日本で売られるものより、日本で作ってアメリカへ輸出され、日本の業者が買い付けて日本に送り返して売っているタイヤの方が安いことがあるんだからおかしな話です。必ずしも製造コストや流通コストなどから決まっているわけではないということです。
話が逸れましたが、ポイントは現状決まっているのは「国内での値上げ」なので、並行輸入品は円高も手伝って今まで通りかちょっぴり安く買えるかもしれないということです。正規品にこだわらない方はそれもあり。




どの程度の値上げ幅か

高くなるのは間違いありませんが、どれくらい上げるかが決まっていないようです。おそらくは5%~10%の範囲と考えられ、ブルーアースやアドバンで5%程度、エコスで10%程度でしょうか?
上げるのを先に決めてどれだけかは後からなんてヘンな話でしょう?

 

値上げはいつからか

現状はまだ我々業界の者にも価格が伝わってきていません。しかし、今月から仕入れが上がるのは間違いなさそうです。我々としては困ったことに今月買った分も後から高くなった値段で請求書が回ってくる可能性が高いので値段が決まるまでは買い控えている状態です。
では皆さんのお財布に跳ね返ってくるのはいつ頃かといえば…
店頭販売をしているところは店売りで在庫がある分は据え置き、今月中にはヨコハマから価格も出るでしょうから、そこで値上げでしょう。大手の卸売りを手掛けているネットショップでもお盆明けには値上げされてくる可能性があり、遅くとも来春あたりには値上げ価格が出揃うでしょう。

 

まとめ

BluEarth

ブルーアースなど中級グレード以上のタイヤは非常に良いのでナビゲーターとしてもお勧めです。エコスES31は安い割にはゴム劣化が遅めなので、家計が厳しい我が家でもチョイ乗りの軽のタイヤに使っています。

 

何が言いたいかというと「ヨコハマ」買うなら早い方が良いってことです。今月入って各ショップもチラシを打ってることですし、今のうちに買うのが吉でしょう。
更に言うなら、価格帯で並んでいる「ダンロップ」だって、後ろからコッソリ見ている「トーヨー」だって値上げできるなら値上げしたいでしょうから、どこかでは同様の動きを見せてくる可能性はあります。「ダンロップ」がシェアとりで価格を据え置くのか、ここぞとばかりに上げてくるのかは未知数ですが下がることは考えにくいので、タイヤ交換の時期に入っている方はあまり粘らない方が結果的に得しそうです。




 

【追記:2016年7月12日】
ナビゲーターのお店にもヨコハマタイヤから仕入れ価格がきました。エコスは最終価格で10%ほど上がってました。それ以外は若干の値上げで2~5%ほどでした。安くなり過ぎたエコスは大幅にテコ入れした形ですが、他はダンロップの価格と離れ過ぎてしまうので抑えたようです。早期に一般的な市場販売価格に跳ね返りそうなのはエコスくらいでしょうか。地域よって売れる本数も違うので上げ幅が違うようで、商品についても地域差についても全体の差を圧縮するような上げ方です。
ヨコハマとしては利益が取れないエコスを生贄にシェアを大きく落とすことは仕方ないとの覚悟があるのでしょう。そして、力を入れているブルーアースなどの高付加価値商品の拡販をしながらブランド価値を上げていくのが狙いでしょう。
価格的にユーザーにどれくらい跳ね返るのかは未知数ですが、取り扱いを大幅に縮小したり最悪やめるお店も出るでしょうね。

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タイヤのパンクをいち早く簡単に知る便利グッズ

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タイヤの圧力監視装置:TPMS

TPMSという名前を聞いたことがないでしょうか?TPMSとはTire Pressure Monitoring System(タイヤ圧力監視システム)の略で、タイヤの空気圧(内圧)を監視する装置です。ここでとりあげるTPMSは直接TPMSと呼ばれるタイプで空気の注入口であるバルブを圧力センサー内蔵のバルブに変更するなどして実装し、空気圧を常時監視することができるタイプです。

TPMS本体

普及しつつある背景

BMWなどで純正装着されているランフラットタイヤはパンクしても外観による変化が分かりにくいので、ドライバーがパンクに気付くのは困難です。そのため空気圧が低くなったタイヤと正常なタイヤの間で生まれる回転数の差を検知するセンサー(間接TPMS)が装備され、メルセデスベンツなどにも普及しています。
日本でも一時期クラウンなどに、この種のセンサーが標準装備されていました。

 

しかし、間接TPMSは車両側についているABS用センサーを利用するものの、ソフトウェアの変更が必要になるため標準装備がない車両では後付けは難しいようです。それに対して、直接TPMSはバルブの交換などで装備できるので、ホイール形状に幾らかの制限はあるものもありますが、大抵の車両に装備可能です。また装備した車のドライバーが空気圧を表示するモニターを見るだけで、早期に異常に気付くことが出来るので簡単で明瞭です。

 

因みに北米ではTPMSの装備が義務化されおり、日本でも将来的には義務化が検討されています。最近はレクサスなどの高級車や日産自動車の一部車種に純正装着されるなど普及が進んでいます。

 




メリット

異常に早期に気付ける

空気圧の異常に「早期に」気づけるかはほとんど運と言っても過言ではありません。発見には主に「タイヤの異常なたわみに目視で気付く」、「空気圧をチェックして異常に気付く」、「ハンドルの重さなど走行性の悪化に気付く」の3種類があり、これらのどれかを「早期に」気付かなければならないのです。では、なぜ「早期に」気付く必要があるのでしょうか。

 

パンクした経験のある方ならご存知の方もいるかも知れませんが、タイヤは低圧状態で走行するとホイールと路面で押しつぶされ構造が破壊されます。こうなってしまっては極小さな穴で通常なら修理で済むはずのタイヤも交換しなければなりません。早期に発見しなければ、こういった事態を防ぐことができないのです。

 

リスクが減らせる

朝、駐車場に行ったらタイヤがぺちゃんこで「会社に遅刻」してしまったり、「急用なのにすぐに動けない」なんて事態にも、前に車に乗った際に気付いておける可能性が格段に上がります。

 

また走行中にゆっくりと空気が抜けている場合などでも致命的な事態になる前に、路肩に寄せたりパーキングエリアに立ち寄ったりといった対処が可能です。特に高速道路を走行している場合などではパンクによる危険度は高く早期に気付ければ安全に対処できます。

 

空気圧管理がしやすい

当然、普段からも空気圧が見えているので管理も楽で、空気圧が減ったのを見て補充をすることが可能です。特に扁平タイヤでは空気圧が減少していても見た目に分かりにくいのでモニターがあるのは助かります。空気圧を保つことは燃費や走行安定性、偏摩耗抑制などの観点から見ても非常に重要です。しばらく点検をしていなくて非常に低い空気圧で走行していたなんてことも避けられるわけです。




デメリット

価格が高い

まだまだ価格が高く4つセットで1万円代後半くらいから販売されていることが多く、少々手が出しにくいかも知れません。

 

そういった意味では、あれば便利だとは思いますがコンパクトカーの標準装着サイズのタイヤなどであれば装備の必要性は低いと考えられます。しかし、扁平の大口径タイヤなど高価なタイヤを装着している場合、タイヤをダメにしてしまっては損失も大きいので保険の意味で装備をお勧めしたいところです。扁平タイヤの場合、空気圧の管理もよりシビアになることが多いので、そういった意味でも装備をお勧めします。また扁平タイヤはもともと薄いので空気が抜けてたわんでいるのにも気づきにくく、発見が遅れてタイヤをダメにしてしまいがちなことも付け加えておきます。

 

自分で装備するのは困難

バルブを交換するには、専用の機械などでビードを落とす必要があるなど自分でやるのは難しくタイヤショップなどにお願いすることになるので気軽にポンとつけるというわけにはいきませんし、幾らかの工賃も必要になります。

 

新品のタイヤに交換する際に一緒に装備してもらうと工賃も節約できて良いでしょう。

 

数年で交換が必要

バルブ側にバッテリーが内蔵されていて、電波を飛ばしてモニタリングしているため、数年で交換が必要です。バッテリーのみの交換を行えれば安価に済みそうですが私の知る限りバッテリーまでユニット化されていてバルブごと交換しなければならないものが一般的なようです。手間や工賃を考えるとTPMSバルブの交換もタイヤ交換と同じタイミングで行うのがよさそうです。

 

庶民のブツブツ

高価なのだから、振動で発電する素子を使って充電するとか、タイヤの回転を利用して充電するなどで半永久的に使えるようにすべきだと思うんですけど…
あ、これで特許か実用新案でも取れないかな(笑)。
なんて私くらいが思いつく程度のものは既に偉い人が思いついているでしょう。おそらくは更に価格が上がってしまう等の問題で今の形なのでしょうね。今より更に普及してくれば価格も下がって、機能性の高いものが発売すると考えられます。

 

まとめ

・直接TPMSはタイヤの空気圧を常時モニターできるので便利
・まだまだ高価なので、むやみにつける必要はない
・扁平タイヤなど高価なタイヤを使用している場合は装備する価値が大きい
・安全のためと考えられる方には価値があるアイテム
・高速道路の利用が多い方には安全面でのメリットが大きい

 

実は素晴らしいものがある


デメリットを挙げておいてなんですが、実はそれをひっくり返す画期的な製品があります。

北米では完全義務化されていることは先に述べましたが、完全義務化となると色々考える人がいるものです。何とか安く手間なくつけられるものをと考えられたのがバルブキャップ型TPMSです。バルブについているキャップをTPMSつきにすればいいだけなんです。しかも比較的安価。スマホをモニターにするタイプなんかも売られています。

バルブキャップ

これを↓に換えるだけ

 

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知ったら怖くなる。あなたのタイヤは雨の日でも大丈夫?

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JAFが公開しているタイヤの状態と制動距離の関係を実験した動画がすごく分かりやすくて興味深かったので紹介してみます。

実験条件

➀車種    :プリウス
➁空気圧   :前230kPa、後220kPa(メーカー標準)
➂夏タイヤ  :ECOPIA EP25(プリウス純正)
 新品 :残り溝 7.6mm
 5分山:残り溝 4.7mm
 2分山:残り溝 3.1mm
 ※法定限度は残り溝1.6mm
➃スタッドレス:BLIZZAK REVO1
 5分山:残り溝 4.5mm

 

ドライ 時速60kmでの制動

JAF制動試験ドライ60kmh

1)スタッドレスはやや不利
やはり氷などに対応すべく設計されたスタッドレスは通常の舗装路では不利です。コンパウンドの対応温度帯が低温でも柔らかくなるように設計されているので路面温度が高くなればなるほど不利にはたらきます。

 

2)慣らしは重要
新品は慣らしが終わっていないのでこんなものでしょうか。

 

3)山がない方ほど早く止まる
5分山が2分山に負けたのは意外に思うかもしれませんが、考えてみれば当然でレースでも溝がない方が有利ですよね。レースシーンは極端としても、この場合考えられるのは5分山の方がブロックの高さがある為、倒れこみによって接地面積が少なくなったり、力が集中した結果でしょう。接地面積が狭いのはグリップに不利ですし、力が集中すればコンパウンドが耐えられず削れていくことで制動距離が伸びますし、過度に熱が発生してしまうことも制動距離を伸ばす要因になるでしょう。

 

ブロック倒れ込み

 

ドライ 時速100kmでの制動

JAF制動試験ドライ100kmh

結果は先程と同様ですね。注目すべきは時速が60kmから100kmなっただけで、制動距離が大きく伸びたということです。止まるまでに要した距離は約3倍です。スピードの出し過ぎには注意しましょう。




ウェット 時速60kmでの制動

概ねドライの時速60kmと同等の結果でしたので画像は割愛。大きな差は出ませんでしたが夏タイヤの2分山とスタッドレスでは2mほど制動距離が伸びました。2mと言えば横断歩道が大抵4mですから半分は過ぎてしまいます。

 

ウェット 時速100kmでの制動

JAF制動試験ウェット100kmh

 

1)残り溝との関係
個人的には制動距離の順位については最も予想通りと思える結果でした。排水溝の深さに従ってよく止まるという単純な結果です。新品と5分山があまり変わらないのは予想通りでしたが、法定限度の1.6mmの倍ほどの残り溝がある2分山でこれほど制動距離が伸びる結果は動画を見て驚きました。

 

2)残り溝が5分山のスタッドレスが滑った理由
スタッドレスは十分な残り溝があるのに滑るのは細かいサイプが水を含むことが大きな要因と考えられます。また全体にブロックが小さく倒れこみが大きくなりがちなことも原因の一つと考えられます。
ブリヂストンの発砲ゴムは残り溝5分山でなくなる(動画でも発砲ゴムと通常ゴムがまだらに見える1分30秒頃)ので影響は少ないと考えられるが、水を含み制動距離を幾らか伸ばした要因となった可能性もあります。

 

残り溝と制動距離の関係
残り溝と制動距離

 

旋回制動

JAF制動試験ウェット旋回制動

 

最後にウェット時の旋回制動。スタッドレス5分山は水膜の上に乗ってしまっている所謂ハイドロプレーニング現象のような状態を起こしており、ハンドルを切っても、車はおかまいなしに今進んでいる方向へ進み続けようとします。コントロール不能の大変危険な状態と言えます。
現実に起これば曲がり切れず対向車線に飛び出して行って衝突という結果になります。相手がダンプカーだったりすれば大事故は免れないでしょう。しかも、中央線をオーバーしているのはこちらなのです。

 

では動画を見てみましょう

 

まとめ

1.路面上がドライであれば、タイヤによる極端に大きな差は出ない。それでもスタッドレスは時速60kmですら車1台分の差があることは認識しておくべき。
2.ドライの時速60kmと時速100kmでは約3倍の制動距離の差があるがタイヤの状態では極端な差はない。
3.ウェットであっても時速60kmなら極端な制動距離の差はない。しかし、スタッドレスは車1台分も前へ出てしまう。
4.ウェットで時速100kmでは制動距離に極端に大きな差が出て、2分山とスタッドレスの5分山は制動距離が非常に長い

 

当然ですが出来ることならスタッドレスの履きつぶしは避けた方が良いという結果でした。そうはいってももったいと思う気持ちもわかります。もし履きつぶしをするなら濡れた路面では十分に速度を落とし、注意して運転してください。





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溝もある見た目も大丈夫な「危険なタイヤ」とは?

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先日、お客様から外したタイヤを見て、これは危ないなと感じたケースです。年に何度か見るケースですが、ユーザーとして異常が発見しにくい「ゴム劣化」の例としてお見せします。

 

タイヤ交換をすべきタイミングは2つ

主に下の2つのケースがあります。

摩耗が進んでスリップサインが露出しそうな場合

ゴムが劣化した場合

 

今回はゴムの劣化が主たる問題となりますが、摩耗についても軽く触れていきます。

 


摩耗が進んでスリップサインが露出しそうな場合

これは見た目だけで判断可能で明白です。こうなったらアウト。

 

slipSign

 

1箇所でもスリップサインが繋がったタイヤでの公道走行は法令で禁止されていますから、その前に交換しましょう。法令は置いておいても、スリップサインは濡れた路面で急激に制動距離が伸びるラインなので、あなたと周りの方の安全の為に交換しましょう。勿論その安全のための法令ですからね。

 

ゴムが劣化した場合

まず劣化には大まかに2つの問題があります。
ひとつは靴底に当たるトレッドの劣化で、もうひとつは空気のケースであり車体を支える骨格構造のゴムの劣化です。では、これら2つの問題について見ていきましょう。

 





今回問題のタイヤを例に見ていきます

今回危険な例に挙げるのは使用開始から約6年、製造からは約7年で交換に至ったこのタイヤです。因みにこちらはミシュランのエナジーセイバーで非常に摩耗に強いので年間走行距離が1万km以下だと5年経っても溝が沢山残っているケースが多いタイヤです。

 

周クラック

トレッドの劣化

靴底にあたるトレッドの劣化は利きを落とします。静粛性能が落ちたりするので不快感も出ますが、それは劣化に伴ってゆっくりとなので慣れてしまいますし、それ以外の問題は普段はあまり大きく問題を感じません。ただ例えば、「子供が飛び出してきたというような緊急時」これが問題です。トレッドが劣化していると「通常なら止まれていたのに…」といったことになりかねません。あまり無理なタイヤの延命はお勧めしません。溝があるとどうしても勿体なく思えてしまいます。しかし、大手メーカーサイトでも「使用開始後5年以上経過したタイヤについては、継続使用に適しているかどうか、すみやかにタイヤ販売店等での点検を受けられることをお奨め致します」と書かれているように、5年経過したら交換の検討が推奨されています。

 

ブリヂストン公式サイト「長期経過タイヤの点検・交換」

 

さて今回のタイヤのトレッドはこのようになっています。

 

トレッドの痛み2

トレッドの痛み

 

スリップサインまではまだまだで、ヒビは多いものの致命的ではないように思えます。しかし、ゴムが劣化し硬化したことで見た目にも問題があることは分かります。まず溝の中にクラックが入っています。トレッドの中で最もゴムが薄く弱い部分と言えるので良い傾向とは言えません。またブロックの角のゴムが細かく千切れて、のこぎりのようにギザギザになっています。ゴムの硬化がかなり進行していることを示していて、急ブレーキを踏めばゴムが負荷に耐え切れず千切れ飛びながら止まることとなり、緊急制動距離は大幅に伸びているので、やはり危険と言えるでしょう。劣化したタイヤであっても普段は問題にならないのですが急ブレーキを要するようなときにはじめてタイヤの真価が問われます。やはりこの様な状態になっていたら、交換した方が良いでしょう。但し、これだけでは「致命的」とまでは言えません。

 





骨格ゴムの劣化

タイヤは高圧の空気を入れておくためのケースでもあります。空気を入れるメリットは乗り心地や軽量化など多くの意味があります。普段意識しませんがタイヤには大抵は大気圧の倍以上の圧力の空気が充填されています。これにより重い車を支えたりといったタイヤの基本的な機能を実現しているわけです。
では問題のタイヤです。

 

タイヤ外観

 

全体を見ても大きな問題はなさそうです。しかし、問題がないならとりあげないわけです。
というわけで詳しく見ていきましょう。

 

周クラック

周クラック-ストレスかけた

 

一見問題なさそうに見える画像の点線を入れた部分ですが、少し変形させてあげると非常に深いクラックが現れます。ヒビを見やすくするために変形させているだけで、ヒビは元々そこに存在し別に無理にヒビ割れさせたわけではありません。それ以前に手で力を入れた程度でヒビが広がったりする状態なら、1トンを超える車を支えるタイヤとしては失格です。

 

このクラック、タイヤ側面の骨組みで、放射線状に入っているナイロンコードに達していました。このコードは鉄筋コンクリートで言えば鉄筋の部分でコンクリートに深いヒビが入って鉄筋に達していると言えば、恐ろしさが伝わるでしょうか?本来外部と接触しないはずの鉄筋が雨などにより錆び、強度が大幅に低下し耐荷重が落ち危険にさらされていることが分かるでしょう。重さ1トンを超える車体を支えるタイヤでも同じことが言えます。
元々、高荷重に耐え、内部からの高い空気圧に耐えているタイヤですが、これから暑くなると高熱になったアスファルトや強烈な直射日光などで特にタイヤには厳しい環境になります。骨格が弱っているタイヤで高速走行などすれば問題が起こってもなんら不思議はありません。むしろ問題が起こらないでいる現状は、運が良いだけとさえ言えます。最悪の場合、バーストなんて怖い目にあわないために安全点検はしておきましょう。

 

点検なんてよく分からないけど気になったあなた。チェックしてもらうだけならタダだから、エアチェックついでにタイヤショップに立ち寄ってみては?


最後にこんな動画をどうぞ

 

流石にここまでひどいのは、ほとんどトラックなどの大型車ですけどね。

 

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なんて便利!謎のハイテクタイヤの秘密

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欲しくなっちゃう便利なタイヤ

 

謎のタイヤの秘密を解明

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一見なんの変哲もないこのタイヤ。内側を見てみましょう。

 

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なんだかテカテカした黒いものが見えます。
因みに普通のタイヤの内側はこちら。

 

normaltire01

 

黒いテカテカはありませんね。
では、正体を確かめるため、触ってみましょう。

 

contiseal03

 

うぁ~ネバネバ~

 

contiseal04

 

くっついてきた~;

 

ここで突然ですがブスリ!

 

contiseal05

 

えぇ~!!
いきなりタイヤに千枚通しを突き刺すとか何考えてるんですか?!
と下手な小芝居をしたところで…

 

テッテレー♪

 

contiseal07

 

貫通した千枚通しが先程の黒いネバネバしたものに覆われています。角度的に分かりにくいですが3cmほど貫通しています。

 

少し角度を変えてみます。

 

contiseal08

 

確かに貫通しています。しかし千枚通し本来の金属光沢は見えません。
実はこの黒いネバネバは、このように異物を包み込んで空気漏れを防いでしまうハイテク素材なんです。これにより釘などを踏んでしまっても、そのまま走行できてしまうのです!
しかも!

 

contiseal09

 

釘などの異物が抜けても内部からの空気圧で、このハイテク素材が穴へ押し込まれ穴をふさいでくれるので大丈夫。
(状況によるので100%ではありません)

 

防げる場合と防げない場合

5mm程度の穴なら有効です。
大き過ぎる穴の場合は防げません。
サイドウォールへのパンクは防げません。




コンチネンタルのメーカー担当者にQA

ナビゲーター「ランフラット同様、穴が開いたら交換ですか?」
メーカー担当「はい。穴が開いたタイヤは交換してください」
ナビゲーター「気づかないで走り続けられちゃう場合もありますよね?」
メーカー担当「そうですね」
ナビゲーター「そのまま使い切ってしまうこともある?」
メーカー担当「確認できませんが、あるようです」
ナビゲーター「そんなときは問題ないってことですよね?」
メーカー担当「気付かないわけですからね」
ナビゲーター「じゃあ問題ないですね」
メーカー担当「推奨するわけではないですよ?気付いたら換えて下さいね」
とのことでした。これがランフラットタイヤとの大きな差です。

ランフラットタイヤとの差

ランフラットタイヤは空気が入っていなくても自己組織を壊しながら一定距離走れるタイヤです。どの程度組織が壊れたかは確認できない為パンクしたら必ず交換が必要です。それに対しシールタイヤは穴自体を塞いでしまうので空気漏れ自体を止めてしまいます。穴が開いても自分でふさいでしまうのだから、気付かず使い切るケースは否定できないですし、それ自体は問題ないようです。
もう一つ重要な差はランフラットのように硬くないことです。ランフラットタイヤは構造上あの鉄で走っているような乗り心地になっていまいますが、シールタイヤはソフトです。

 

この技術が採用されているタイヤは?

今回はフォルクスワーゲンのシャランから外したコンチネンタルのContiPremiumContact2のContiSealタイヤですが、ピレリからもSEAL INSIDEのブランド名で発売されています。

 

どのタイヤもサイズはかなり限定されていて、基本的には標準装着されている車の交換用です。
ピレリのメーカー担当者に聞いたところ、推奨するものではないがサイズが合えば標準装着車以外につけても問題はないそうです。

 

シールタイヤのラインナップ

コンチネンタル

ContiSportContact5
285/35R21
255/40R21
235/40R18
235/45R17

 

ContiPremiumContact2
225/50R17
215/60R16

 

ピレリ

ピレリ CintuRato P7
235/40R18
235/45R17

 

国産車ではあまり多くないサイズばかりですが、215/60R16は国産車でも使えるケースが多いですね。




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